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片田珠美「精神科女医のたわごと」

田口淳之介が苦しむ大麻使用への渇望…極度のストレスと経済的困窮の“負のループ”

文=片田珠美/精神科医
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田口淳之介被告保釈 土下座で謝罪(写真:日刊スポーツ/アフロ)

 人気アイドルグループ「KAT-TUN」の元メンバーの田口淳之介被告と、同居していた元女優の小嶺麗奈被告に21日、東京地方裁判所は懲役6カ月、執行猶予2年を言い渡した。この2人は、今年5月、東京・世田谷区の自宅マンションで大麻取締法違反(所持)の容疑で逮捕され、その後起訴されている。

 田口被告と小嶺被告が薬物をきっぱりと絶ち、更生することを心から願う。だが、大麻の薬理作用から考えて、本当に大麻と手を切ることができるのだろうかと危惧せずにはいられない。

 というのも、とくに現在39歳の小嶺被告の薬物使用歴が長いからだ。小嶺被告は公判で、初めて薬物を使用したのは「20歳の頃」であり、その後は使っていなかったが、「約10年前」再び使用するようになったと説明した。その半年後に、田口被告も使用するようになったという。

 大麻を使用すると、一般に知覚が変化し、集中力がなくなり、情緒が不安定になる。しかも、長期間乱用を続けると、何もする気がしない状態(無動機症候群)や知的機能の低下が引き起こされやすい。

 長期間の乱用がもたらす最も深刻な問題は、精神依存である。そのせいで、大麻の使用を中止すると、怒りっぽくなり(易怒性)、不安が強くなる。こういう精神状態に耐えられず、大麻への渇望が生じるのだ。

 ただでさえ、大麻の使用を中止するとこのような精神状態に陥りやすいのに、田口被告と小嶺被告はさらに激しいストレスにさらされる可能性が高い。田口被告は、アイドルグループの元メンバーとはいえ、今回の逮捕・起訴、そして有罪判決によってイメージが失墜した。そのため、少なくとも執行猶予期間中は芸能活動が制限されるだろうし、その後も芸能活動の再開には苦難が伴うだろう。当然、経済的に厳しい状況になり、それが多大なストレスを生みかねない。

 そもそも、小嶺被告が一度はやめていた大麻の使用を再開した一因にストレスがあるようだ。2人の交際が発覚して、田口被告が当時所属していた芸能事務所から「怒られて、田口も仕事をおろされた」ことに、田口被告のファンからの嫌がらせも重なって、そのストレスから睡眠障害、摂食障害、耳管狭窄症などに悩まされるようになったと、小嶺被告は公判で説明している。

 一連のストレスから大麻の使用を再開したのであれば、今後も激しいストレスにさらされて耐えきれなくなれば、また大麻に手を出すかもしれない。その危惧があることを、精神科医としての長年の臨床経験から警告しておきたい。

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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