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小澤貴子「化粧品のウソとホント」

タトゥーシールとフェイスペイント、皮膚被害が続出…国、危険成分使用状況を公表

文=小澤貴子/東京美容科学研究所

被害は若い世代が中心

 2019年9月3日、タトゥーシールによる重大事故などが消費者安全法第12条第1項の規定に基づき、通知されています。重症の炎症を含め、かゆみや赤くなるだけではなく、シールを剥がした後に色素沈着、つまりシミとなって残ってしまったという事例も発生しています。また、被害者の年齢は未就学児から10代など若い世代に多いことが特徴です。

 子供の皮膚は、大人と違い弱いです。特に皮脂腺は、生まれた時にはまだ未発達な状態で、皮脂を分泌することができません。思春期にかけて少しずつ発達し、徐々に皮脂を出すことができるようになるのです。ですから特に未就学児の場合は、皮膚を守る機能(バリア機能)を持つバリア層の皮脂膜はほとんど存在していません。

 また、皮脂膜と共にバリア層を形成している皮膚の最外層の角層と呼ばれる部分もまだ弱い状態。ちょうど、新芽の茎が弱いのと同じように、年齢を重ねないと丈夫な茎はできないのです。ですから、子供の皮膚は、さまざまな成分が体内に吸収されやすいという特徴があります。タトゥーシールは化粧品よりも皮膚に成分が密着した状態が長時間続きますから、必然的にさまざまな化学物質が吸収されやすく、シミの原因になったり、アレルギーや炎症が起こりやすいのです。保護者の方はこうした事実を認識して、使用するかどうかを冷静に判断する必要があります。

 幼稚園児の頬に100円ショップで買ったハロウィンのタトゥーシールを貼ったという例では、3時間後に取ろうとしても剥がれず、化粧落とし用のクレンジングローションくぉ試しても剥がれなかったとあります。翌日強く擦って剥がしたら、皮膚に傷がつき、かさぶたが取れた後も、シミのようになって跡が目立ってしまっている状態が続いているという例や、剥がしたところに炎症や水ぶくれができたという事例、シールの模様状に赤くなってしまったという報告もあります。これらの被害報告は消費者庁にあがってきたもののみですので、氷山の一角と考えてよいでしょう。

成分表示の義務がない

 前述のとおり、販売されているタトゥーシールのうち、半数以上のものには成分表示がなされていないのが現状です。消費者庁が無差別にタトゥーシール11製品とフェイスペイント9製品の計20製品を調べたところ、タトゥーシール3製品とフェイスペイント1製品で化粧品への配合が禁止されているホルムアルデヒドが検出されました。ホルムアルデヒドは皮膚を刺激し、長時間の接触によってアレルギー性接触皮膚炎を起こすことが指摘されている成分です。

小澤貴子/東京美容科学研究所

小澤貴子/東京美容科学研究所

工学博士(応用化学専攻)
1975年生まれ。上智大学理工学部化学科卒業後、応用化学修士課程に進学。修士課程修了後、大手化学会社の研究員を経て、上智大学理工学部化学科非常勤助手として研究に携わる。
その後、祖父の代から続く、東京美容科学研究所に入所、肌と美容の研究の道へ。現在、同研究所にて、化粧品の研究とともに、正しい美容科学の普及に努めている。理美容のプロおよび一般の人々に対して、肌の生理や化粧品についての知識の向上を目指すべく、教育普及活動にとくに力を入れ、全国で講習会や講演を行っている。

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