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デオドラントスプレー、健康被害の恐れ?薬用ボディウォッシュで皮膚障害の懸念も

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト
デオドラントスプレー、健康被害の恐れ?薬用ボディウォッシュで皮膚障害の懸念もの画像1「Getty Images」より

 汗ばむ季節が続いていますが、今や汗臭は口臭と並んでスメルハラスメント(嫌な臭いを発して周囲の人に不快な思いをさせること)の最大原因になっているようです。特に男性の汗臭は、「男子臭」あるいは「男脂臭」ともいわれ、「汗臭のする男性は女性に嫌われる」との言説が広まっています。

 そのため、汗臭をなくしたいと考えている男性が増えているようです。そんな男性の心理に巧みにつけ込むように売り出されているのが、デオドラント製品です。薬用ボディウォッシュ、薬用クリーム、デオドラントスプレーなどがドラッグストアにはズラッと並べられています。

 しかし、デオドラント製品を安易に使うのは控えたほうがよいでしょう。なぜなら、製品に含まれる成分によって、皮膚障害が起こる心配があるからです。また、皮膚を無防備な状態にして病原菌の侵入を受けやすくしてしまうという問題もあります。

 薬用ボディウォッシュの場合、多くの製品に有効成分としてイソプロピルメチルフェノールという化学合成物質が配合されています。

 汗臭は、汗に含まれるアンモニアや乳酸などの老廃物を、皮膚に棲息する細菌(皮膚常在菌)が分解することによって発生します。イソプロピルメチルフェノールは、その細菌を減らす作用があるため、結果的に汗臭の発生が少なくなるというわけです。

 しかし、イソプロピルメチルフェノールの皮膚への悪影響が心配されます。イソプロピルメチルフェノールは強い殺菌作用があるため、ハンドソープや薬用せっけんなどにも使われていますが、皮膚に対して接触性皮膚炎を起こすことが知られているのです。

 接触性皮膚炎とは、化学物質などが皮膚に作用して、免疫を刺激したり、あるいは表皮細胞に障害を起こすことで発生する炎症です。発赤(赤くなること)や水泡、かゆみや痛みなどが主な症状です。

 したがって、イソプロピルメチルフェノール入りの薬用ボディウォッシュを使い続けていると、人によっては肌にかゆみを感じたり、赤くなったりすることがあるのです。

薬用クリームやデオドラントスプレーは要注意

 さらに薬用ボディウォッシュには、パラベン、安息香酸塩、エデト酸塩、ラウレス硫酸Na(ナトリウム)など、表示指定成分だった化学合成物質も含まれています。表示指定成分とは、皮膚アレルギーなどの肌トラブルを起こす可能性があるとして旧厚生省がリストアップした化学物質で、全部で100種類以あります。

 かつては、これらが化粧品や医薬部外品に含まれていた場合、表示が義務付けられていました。2001年に化粧品の全成分表示が義務付けられ、医薬部外品についても業界が全成分を自主的に表示することを決めたため、この制度はなくなりましたが、表示指定成分として挙げられた化学物質が要注意であることに変わりはないのです。

 ちなみに、有効成分のイソプロピルメチルフェノールも表示指定成分だったものです。表示指定成分が多いほど、それだけ肌トラブルを起こしやすいと考えられます。

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