金属アレルギーの人も要注意です。金属アレルギーを起こしやすい金属として、金、ニッケル、水銀、クロム、コバルトなどが知られていますが、この20製品のうち2製品からクロム、そして9製品からコバルトが検出されました。しかし、パッケージや取扱説明書には、金属が含まれているという表示はゼロ。どの製品にも金属使用の表示はされていませんでした。シール状として皮膚に長時間密着された状態ですから、販売者側の安全への関心がいかに欠如しているかがわかる結果だと思います。
フェイスペイントも「雑貨」に分類されているので、化粧品の安全チェックの対象外です。タトゥーシールと類似の皮膚への健康被害が報告されており、タトゥーシールのような使用方法の説明も不要な商品であるために、そもそも日本語の表示がない製品が多く流通しています。
タール色素はシミの原因でもあり、発がん性など健康への影響から、化粧品で使用できるタール色素には規制があります。今回消費者庁がテストした全20製品の中には、化粧品への配合が認められていないタール色素が2種類も表示されているものが見つかりました。しかも、これは成分表示されていたから判明したことで、半数以上の製品には成分表示がなく、また輸入品が多く正しい成分表示がなされているのかについても不明瞭なものが多いという問題があります。化粧品では、配合が許可されているタール色素であっても、配合上限が定められていますが、タトゥーシールやフェイスペイントではこうした規制の対象外です。
子供の皮膚の特徴は、肌のバリア機能が未熟で、さまざまな成分が体内に吸収されやすいということ。ですから、子供の皮膚に直接つけるものについては、十分すぎるほどに注意していただきたいと願います。
(文=小澤貴子/東京美容科学研究所)
※文中の事例やテスト内容などは、すべて下記の報告書のものです。