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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

今のその生活が「不幸&不健康な老後」をもたらす!楽しい時間がない、人を愛せない…

文=熊谷修/人間総合科学大学教授
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 ところで、シニアの知的能動性のレベルは、若い頃からの知的生活に大きく影響を受けるためとても注意が必要である。若年、中年期の知的ライフスタイルがシニア期の知的能動性の水準を決めるのである。「蓄積されている情報が職域など限られた領域になっている」「幅広いジャンルの読書習慣がない」「新聞はいつも限られた欄しか読まない」という人は、注意が必要といえよう。今、新聞はスマートフォンやタブレットのアプリケーションでダウンロードして読めるが、関心ある情報しか目を通さない若者は多いのではなかろうか。幅広い教養の蓄積がシニア期の知的能動性のレベルを高めることになる。社会的な広がりのある充実したシニア期の準備は、若い時からしなければならないのである。

社会的役割

 最後に、社会的役割である。この能力は人を愛しむ力である。利他的な行為であり、親が子を思いやる愛情にも似ている。恋愛結婚しても当初は「スキスキ!ドンドン!」で暮らしても、長く連れ添い齢を重ねれば「守り思いやる心情」に成熟してゆく。人生後半の愛しむ力は人を愛し、家庭を運営し子供を守り育てる過程で醸成されていくのである。この社会的役割という能力は、人間関係の機微のなかで育まれるのである。

 そのため社会的役割の能力は若い頃からの人生の歩み方に大きく影響される。人を愛し共に生きることを面倒に思うなどということは、自らの人間としての成熟を阻みシニア期の健康リスクを高めてしまうことになることを忘れてはならない。

 この3つの能力は、シニアになるとだれでも加齢に伴い低下する。最近の研究では、知的能動性の能力が最も早く低下することが確認されている。若年、中年期からこの3つの能力を高める努力を惜しまず、実際に高い能力レベルに到達しシニア期を迎えないと豊かで健やかな老後など望めないことを覚悟すべきである。

 シニア世代になるとさまざまなライフイベントと遭遇する。配偶者との死別もあるかもしれない。しかし、この能力が高ければ一人暮らしになっても怖くない。隣人が引きも切らずやってくるはずである。なぜなら、この3つの能力が高いシニアは素敵なシニアだからである。
(文=熊谷修/人間総合科学大学教授)

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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