スーパーなどの安売りの弁当・惣菜、想像を絶する危険!ビーフカツに金属片どころじゃない…
なぜ同書を書こうと思ったかといいますと、前著『じつは怖い外食』(ワニブックスPLUS新書)をお読みくださった方々から、「もっと知りたい」というお声がたくさん寄せられたからです。ご批判も多々ありましたが、筆者としましては、批判は批判として真摯に受け止めた上で、本当のことを知りたいという読者の方々のご要望にお応えすべきと考え、執筆することにいたしました。
一旦はインタビューを受けることを了承してくださった方が、直前になって断ってきたということもありました。在籍していた企業に入社するときに結んだ「秘密保持契約」があり、それは退社後も永遠に有効なものであるので、なんらかの事情で自分の名前が特定された時にまずいことになるという理由でした。
『じつはもっと怖い外食』の中では、安価に販売されている弁当の製造工場のことも書きましたが、それは想像を絶するというか、見るに耐えないものです。ビーフカツ事件に関する報道の中でみのりフーズの社長と会社がテレビに映りましたが、それをご覧になった方は、どんな様子かある程度はおわかりになることと思います。
ビーフカツ事件は氷山の一角
今回のことで、産廃業者を含め関係者だけを責めても、なんの解決にもならないことは自明の理です。いくら話し合っても、どれだけ厳しく規制したとしても、このような事件はおそらく後を絶たないでしょう。残念なことではありますが、食品を扱っているという自覚のない人たちが食品の流通にかかわっている現実があるのです。そのことに監視の目を向け続けることは事実上不可能です。私たちは、本気で自分たちが食べているものについて考え直さなければならない時期にきているのではないでしょうか。
ビーフカツ事件と同様のことが、いつ、どこで起きていても不思議ではないのです。断言することはできませんが、おそらく今もどこかで起きているでしょう。少なくとも、それに近いことを筆者自身が見ており、聞き及んでいます。
業界ナンバー1をひた走るココイチですが、創業時には大盛りライス(1300グラム以上)のカレーを20分以内に完食すれば飲食料金が無料になるイベント、「大盛りチャレンジ」で話題をさらったこともあります。しかし、年間30トンもの残飯が出ていたことから、2003年8月31日をもって打ち切りとなりました。
このたびはまた、まったく別の食品廃棄をすることになりました。このような廃棄が積み重なって、現在日本国内だけで毎年約1900万トンもの食品廃棄物が出ています。そのうちの約500~900万トンは可食部分、つまり食べられるのに捨てられる食品です。それは、私たちには関係のないことなのでしょうか。ただ黙って見過ごせばいいことなのでしょうか。
古臭いことを言う気はないのですが、食べものを無駄にするのはやめにしませんか。少しでも、日常的にできることがあるのではないでしょうか。もっと真剣に食べもののことをみんなで考えるようにしませんか。もう、食べるものは安ければそれでいい、という時代ではないのです。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)
『じつはもっと怖い外食』 8刷、3万部突破の『じつは怖い外食』の続編。外食や中食の最前線で働く人、辞めた人たちに“怖い"インタビューを敢行。グルメサイトの被害者やハンバーガーの異物混入問題、有名無実化した衛生管理者などに「危険な」証言を聞く。コンビニ弁当、カップラーメン、フライドチキン……のつくられている現場は、じつは“もっと"怖かった! 著者みずからが激安居酒屋、立ち食い蕎麦、ファミレスなどへの潜入レポートも掲載。