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旅行代理店を筆頭に旅行業界は、20代男子一人旅の需要が高いことを薄々感じながらも無視しつづけてきた。いまや、ネットで簡単に交通機関のチケット予約もホテルの宿泊予約もできるようになり、これまで主要ターゲットにしてきた女子や高齢者までもがネット予約で旅を楽しむようになったため、旅行代理店離れは加速。
もちろん、20代男子が旅行代理店を使うことは少ない。20代男子は旅行業界にとってブルーオーシャン(競争の少ない未開拓市場)に当たるわけだが、長年にわたってこの層を無視してきた旅行代理店には、それらの需要を取り込む戦略がまったくないのだ。
旅行スタイルの変化
では、なぜ20代男子の旅行需要は伸びているのか。その理由を旅行業界関係者はこう解説する。
「ツイッターやフェイスブックなどのSNSの普及が挙げられます。これまでは『一人旅=孤独』というイメージが強かったですが、SNS時代の一人旅は違います。旅をしていて写真をアップすれば、すぐにフォロワーから反応が返ってくるし、インターネット生中継だってできてしまう。要するに一人旅をしていても孤独感を抱くことがない。それどころか、旅がネタになっている感さえあります。珍しい場所や珍しい食べ物、風変わりなお土産などをSNSにアップすることでアクセス数を増やせるのですから、一人旅男子が孤独というイメージはないのです」
SNSで旅行スタイルは大きく変わり始めた。一人旅なら団体旅行のように他人に気兼ねすることなく自由に行動することもできるし、気分が変わったからといってスケジュールをすぐに変更することも可能だ。
旅行スタイルは確実に変動しているが、旅行業界の体質は旧態依然としている。このまま手をこまねいていれば、ますます旅行代理店は無用の存在と化す。
旅行業界は、20代男子を取り込むような新戦略を打ち出すことができるのだろうか。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)
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