今回は「砂糖税」のお話です。英国のジョージ・オズボーン財務相は、増加し続ける小児肥満症患者を減少させるための取り組みとして、飲料に含まれる過剰な糖分に対する課税を2年後に導入すると発表したそうです。対象となるのは、100ミリリットル当たり5グラム以上の糖分を含む飲料。同様の課税はフィンランドやフランス、メキシコなどでも行われています。
この動きについて、極論君は大賛成です。「砂糖の摂り過ぎで肥満になり、そして糖尿病などの生活習慣病を併発し複数の合併症に襲われ、それらを公的保険でカバーしているのだから、砂糖を含む飲料水に課税するのは至極当然。その課税により砂糖含有飲料の消費量が減れば、健康という視点からは文句の付けようがなく、また得られた税収を医療費に補填すれば切迫している医療費にとってもありがたい話である」という論調です。
一方で非常識君は、「どうせ人は死ぬのだから、何を食べようが自由で、それに健康という観点から課税されても不本意だ。そして肥満者全員が糖尿病になるわけでもなく、不公平でもある」という論調です。
たばこによる体への害は、日本でもやっと広く認知されるようになりました。喫煙率は昭和40年代の喫煙率は男性が約80%、女性が15%でしたが、最近は男性が30%、女性が10%と減少しています。
しかし、海外のたばこのパッケージに描かれる過激とも受け止められるような注意喚起のメッセージは、日本には浸透していません。喫煙者全員が肺がんになったり呼吸器疾患を併発するとは限りませんが、国民の健康という観点からは、たばこは吸わないに越したことはないと思われます。つまり、たばこを吸って健康になるという人はまったくいないか、ごくまれということです。
砂糖も実は悪役ですが、炭水化物も同様です。
炭水化物にはザックリと3種類あります。まずは主食である米、麦、そば、うどん、パスタ、パン、餅などです。そして次はデザートなどの甘いもの、そして3つ目は果物です。炭水化物制限を始めたので主食を取らずに果物をたくさん食べている、という人がいますが、これは炭水化物制限という視点からは、まったくの間違いです。
何が日本全体にとって有益か
砂糖税の意図することが、砂糖を減らしたいのか、または炭水化物の総量を減らしたいのかがはっきりしません。砂糖だけが健康にとって害であれば、砂糖税は理屈に合っています。ところが炭水化物の総量を減らす目的であれば、主食や果物にも課税すべきという意見が出ますね。