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(1)前を行く同年代と思われる歩行者を楽に歩いて追い越すことができるか。
(2)自分より若い者とふつうに歩く際、余裕をもって共に歩き続けられるか。
下肢筋力の予備力に反映される老化レベルは、このような何気ない普段の歩行力をチェックすればわかる。この2つの項目いずれかで「ちょっと!きついことがある」という方は、老化による健康問題が間近に迫っているとまでは言わないが、老化が標準的な速度より速く進んでいるかもしれない。
意外に思えるだろうが、下肢筋力の予備力が30歳代からかなり落ちている人がいる。老化耐性の低いハイリスクミドルである。中学、高校時代の成長期に骨格筋を鍛え筋肉量を増やした経験のない肥満傾向のミドルエイジがそれにあたる可能性が高い。骨格筋の総量が男性に比べ少ない女性では、特に要注意である。骨格筋の少ないからだは基礎代謝量が低い。摂取したエネルギーが余剰分になりやすく、腹腔内であれ、皮下であれ、脂肪組織として体に蓄積されることになる。
そのため体重が増えやすく運動量がさらに減少し、骨格筋は虚弱化しやすくなる。そこで痩せようとダイエットすると脂肪組織とともに骨格筋も減少する。繰り返されるダイエットは骨格筋の減少リスクをさらに高めてしまう。この種のパターンにあてはまるミドルエイジは、シニア期の要介護リスクが高い。
もっとも、若年期に筋肉量を増やし鍛えた経験のある人は手立て次第でリスクが回避できるかもしれない。いったんからだに備え持った最大の筋肉量はからだにしっかり記憶される。そのため、中年期、シニア期になっても運動してもう一度鍛え上げれば、筋肉量は復活するかもしれない。
セカンドライフの健康づくりの手立てとして運動スポーツは大切だが、若い頃に夢中になったスポーツの経験がシニア期の健康リスクを軽減するのである。
(文=熊谷修/人間総合科学大学教授)
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