怖い長寿の不幸、死ぬ前の介護地獄20年の例も…医療と健康を他人任せの愚かさと代償
少子高齢化による西洋医学の医療費高騰は、深刻な問題である。2013年度の国民医療費は40兆610億円で、同年度の税収は約47兆円だった。このペースで医療費が拡大すれば、65歳以上の比率が30.3%になると試算されている25年には、国民医療費は56兆円に達することになるという。しかも国民医療費には介護費、生活保護費、救急車の出動費用などは含まれておらず、これを加えると税収をはるかに上回ってしまう。
税収を医療関係費が上回っている以上、その他の国家の必要経費はすべて赤字国債などでまかなうことになる。つまり、現状では財政再建など夢物語でしかない。赤字国債が日本人の貯蓄額を超えると、借金を我が国だけで抱えることができなくなり海外に借金をすることになる。そうなればギリシャの二の舞いである。今や、医療は国を滅ぼしかねないものになりつつある。
メタボリック症候群に着目して生活習慣病や関連疾患を予防、減らすことで国の健康保険制度の医療費負担を大幅に抑えて、本当に必要で予防できない病気に医療費を回し、高齢者の医療を確保することを目的として、2008年4月から特定健診、特定保健指導が実施されている。対象になるのは40~74歳の健康保険加入者で、組合健保、共済組合、国民健康保険など医療保険者(市区町村や企業)が、特定健診を実施する義務と生活指導する責任を負うことになる。
この制度は医療費の軽減を謳ったが、その後も医療費は毎年増大している。当初の目的からすればこの制度は失敗ということになるが、国会などで取り上げられることもない。
そもそもこの制度では、肥満の方に生活習慣病が加われば加わるほど心血管疾患による死亡の危険が増すということから、まずは肥満の方を対象に指導をすることになっている。しかしながら、生活習慣病を伴わないケースではやや肥満のほうが逆に死亡率が低くなることがわかっている。つまり、はじめに肥満ありきではなく、生活習慣病を抱えているケースからスタートすべきなのである。
お任せ主義の医療
我々日本人は健康保険制度に慣らされてしまったせいか、こと医療に関してはお任せ主義である。車や家の購入を人任せにする人はまずいないのに、体のこととなると人任せになってしまう。このお任せの弊害が、米国と日本の100歳以上の寝たきりの比率(米国35%、日本65%)にも現れているのだ。