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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

劇的にがん患者の生存率を高める夢の新薬で、一部の人に重篤な糖尿病等の副作用発生!

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

 小川教授らは、がん細胞の表面にあり、患者の免疫の働きを抑えるたんぱく質に着目し、患者の細胞に特定の遺伝子の変異があると、このたんぱく質が増えることを突き止めたのです。変異がある患者は免疫が強く抑えられているため、オプジーボによって免疫を活発にすれば高い効果が期待できるので、今後、オプジーボの臨床試験で、この目印の有効性を確かめるとしています。治療の効果を最大限にするためにも、早急な検証が望まれます。

 ちなみに現在は、がん診断薬の世界市場は推計1800億円程度ですが、がん治療薬との併用が進んでいることなどから20年には1兆円以上に膨らむとみられています。

 また、現段階では、どの患者に効果があるかを事前に見極めることも難しいのですが、オプジーボ投与後の効果を早い段階で判断することも難しいようです。

 がん細胞自体を叩く今までの抗がん剤と違い、免疫細胞を活性化させてがん細胞を攻撃するオプジーボは、その効果もすぐには現れにくいのです。また、腫瘍が小さくなれば効果が出たとわかりますが、免疫に働きかける薬では効果が表れる前に腫瘍が大きくなることもあるといわれています。オプジーボ投与後にがんが大きくなったとしても、効果がないと判断してすぐに投薬を中止することも難しいのです。

 効くかどうかの判断の難しさや、判定までに時間がかかるということは、患者の不安も増幅させてしまいますし、医療費の高騰にもつながってしまう課題を持っているといえます。次回は、オプジーボを使用した場合の驚愕の治療費についてみていきます。
(文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士)

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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