ビジネスジャーナル > ライフニュース > 五輪のリオ、死ぬほど危険?  > 2ページ目
NEW
新見正則「医療の極論、常識、非常識」

五輪のリオ、死ぬほど危険?感染病で死者続出、強盗は日本の6百倍、最悪の衛生環境…

文=新見正則/医学博士、医師

 そして風光明媚なグアナバラ湾は巨大なトイレであろうが、海水浴に行くわけではないので、応援部隊にはまったくリスクにならない。水を飲むのが心配なら、すべてミネラルウォーターを飲むので心配無用。強盗が日本の600倍以上といっても殺人事件はさほど多いわけではない。危ない場所は世界の観光地であればどこにでもあることで、日本が極めて安全なだけ。大統領に関する政治の不安は確かにあるが、表面的にはブラジルでは何も起こっていないので、基本的な心配はしていない。

 以上が、非常識君の主張です。

厚労省は渡航自粛を促してはいない

“常識君”は、「それぞれが正しい情報を事前に持って、そしてオリンピックの応援という楽しみといろいろなリスク要因をくらべて、各自が判断すれば良いこと」といつものように優等生の発言です。少なくとも世界各国から多数の選手団応援団を迎え入れるのですから、それなりの準備はできていると思いたいですね。

 そこで正確であろう情報源のひとつである厚生労働省のHPを見ると、「海外で健康に過ごすために」という欄の2016年には「オリンピック・パラリンピックでブラジルへ渡航される方へ」というお知らせがあります。そこには、「ブラジルには一部に黄熱の予防接種が推奨される地域があります。渡航観戦が良き思い出となるように、黄熱の予防接種において注意していただきたいことをご案内します」とありますが、ジカ熱や豚インフルエンザなどの記載はありません。厚労省としても渡航の自粛などは勧めていません。つまり非常識君の言うことも間違っていないように思えます。

 悩ましいですね。しかし、100%安全などということは日本にいてもないのですから、ブラジルに応援に行くことができる方は、普段以上の注意を払って、不運なことに遭遇しないように、そして観戦旅行が良き思い出になることを祈っています。ブラジルにお金や時間がなくて不幸にも行けない方は、より安全な日本で、みんなでテレビ観戦をしましょう。
(文=新見正則/医学博士、医師)

新見正則/医師、新見正則医院院長

新見正則/医師、新見正則医院院長

外科専門医 /消化器病専門医 /消化器外科専門医 /消化器内視鏡専門医
慶應義塾大学医学部卒業後、外科医として研鑽を積む。大学病院や関連病院で診療にあたるほか、英・オックスフォード大学にて博士課程を修了。
新見正則医院 公式サイト

五輪のリオ、死ぬほど危険?感染病で死者続出、強盗は日本の6百倍、最悪の衛生環境…のページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!