2児の母親&管理職の私が得た、ものすごい能力と特権…育休=かけがえのない経験
育てる立場に立った今思うこと
――マーケティング部門の管理職として、人を支える・育てる立場から見て、今の女性社員をどう思いますか。
鈴木さん 男女雇用機会均等法等ができてから、男性の考え方が格段に変わり、女性は働きやすくなりました。しかし、考え方が変わったとはいえ、まだまだ女性の産休は疎まれがちです。育休では人材の補填ができないので、育休で休みの女性が多いと、常に2~3人少ない状態で仕事を回すことになります。そして育休は予測ができないものなので、さらに大変です。しかし、デメリットばかりではありません。
――育児によって仕事上でメリットがあるということですか?
鈴木さん そうです。具体的には、産休後の女性はマルチタスク能力が格段に上がっています。オンオフの切り替え、タイムマネジメント能力が身につき、“5分の大切さ”をわかっています。このように効率性・集中力がグッと上がるのは、産休後の女性の特権だと思います。子供は0~2歳までは突発的な病気やお迎えなどで手が離せませんが、3歳になればある程度自立します。つまり、その時期まで家庭、地域でフォローができれば、女性は男性と並んで働けるということです。
もちろん0~2歳の母である時期も、決して無駄にはなりません。母として消費者側の気持ちや、生活能力が身につきます。それはマーケッターとして大きな武器になる能力です。消費者の気持ちがわかる女子社員は、流行に敏感で若い女子社員と同様に大切です。長い間最前線で生き抜き引っ張っていく男性=父親と、親の広い視点で全体を見て陰から支える女性=母親は、どちらも会社において必要な存在です。
――アドバイスありがとうございます。最後に鈴木さんのこれからのキャリアプランについてお聞かせください。
鈴木さん 2人の子供も自立し、やっと仕事8割になれる、と思っております。しかし、今は偉くなりたいというよりも、自分のキャリアを下に伝えたいと思うようになりました。また、少しずつ会社の仕組みも変えていかなければいけないと思います。実は私の会社は外資系と比べるとやはり遅れていて、外資系では子持ちの女性社長も珍しくないのに、弊社には子持ち女子社員はまだまだ少なく、「子持ち+管理職」はマーケティング部門では私だけかもしれません。
ということで、やはり私は自分のやりたいことに加え、キャリアを開拓していく役割もあるのかな、と思ってます。子持ち女子社員が希望を持てるようなキャリアを踏んでいくことも、少し意識し始めています。
――ありがとうございました。
(文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役)