米国の大手世論調査機関「Pew Research Center」が行った調査(2013年7月)によれば、タトゥーを入れている米国人は、全人口のおよそ14%(4500万人)、18~25歳の36%、26~40歳の40%だ。男性(19%)より女性(23%)のほうが多い。
一方、日本人では全人口のおよそ2%がタトゥーを入れているという統計がある(出典:株式会社ヒューマ)。
なぜ、タトゥーを入れるのだろうか? ファッション、アウトロー、人生の迷い、若気の至り?「Tattoo people」と軽蔑を込めたスラングもあるが、低所得者、荒くれ者、反社会性のような偏ったイメージはまだ世間にある。入れる場所も、腕、肩、手の甲、指、胸元、背中、首の後ろ、腰、足首、足の甲などと千差万別だ。
しかし、米国人の約6人に1人はタトゥーを入れたことを後悔しており、そのうちの11%は、タトゥーを消そうと思っていたり、取り除いた経験があるという統計がある。タトゥーを入れることは、大きな心理的・社会的リスクを負う可能性があるかもしれない。
30~40代の80%以上の人が「タトゥーを消したい!」
タトゥーを消したい人が利用する国内最大級のポータルサイト「タトゥー除去の窓口」は、タトゥー除去に関する基礎知識や、除去する前に知っておくべき情報などを提供している。
サイトによれば、若い頃にタトゥーを入れた30~40代の80%以上の人が、タトゥーを消したいと思っている。人生で損をしてきた、勢いで入れたのが失敗、入れたけど格好悪いなどの理由で除去を実行する人が多い。
タトゥー除去の難しさはなんだろうか。それは、除去すれば傷跡が残る点だ。傷跡を残さずにタトゥーを消せないのだろうか。皮膚は浅く薄い表皮と分厚い真皮で構成されているが、タトゥーは表皮の一番下の基底層よりもさらに深い真皮層に色素を閉じ込めるので自然消失しない。
タトゥー除去は、どのように行うのだろうか。
タトゥーを消すための4つの治療方法
日本形成外科学会などによると以下のような方法がある。
レーザー治療による除去
黒や赤はレーザー光の吸収がいいため、色を抜きやすい。だが、濃い黒は除去に時間がかかり、色が抜けにくい。色の薄いタトゥーは色素の量が少ないので、除去しやすいが、赤以外は色が薄くても除去しにくい。細い線の図柄は色を抜きやすい。女性も人気が高い除去法だ。
切除術による除去
タトゥーの入った皮膚を切除後、縫合する。小さく細長い形状は一回の治療で完全除去できるが、大きい形状や皮膚に余裕がない場合は、完全切除は難しい。縫合線は完全に消えない。特に大きい形状を切除した場合は、傷跡が盛り上がる時がある。
皮膚を切らないタトゥーアウェイによる除去
回転針マイクロニードルで皮膚を浅くアブレージョン(削皮術)し、高濃度の乳酸を注入し、色素を除去する。色に関係なく除去できるが、火傷跡のような皮膚が盛り上がった肥厚性瘢痕が残るのが欠点だ。また、除去後に周りの皮膚と比べて除去した部分が白くなる色素脱失、皮膚の色が茶色くなる色素沈着も避けられない。
植皮法(皮膚移植)
植皮法(皮膚移植)は、タトゥーの皮膚表面を剥離し、自分の身体の他の部位(臀部や大腿部など)から皮膚を移植し、タトゥーを除去する。レーザー治療で除去できない深いタトゥー、広範囲なタトゥーを短期間で除去できる。
皮膚のすべての層を移植し、移植元の部分は縫合する全層植皮法と、皮膚の表層の一部を移植する分層植皮法がある。移植した皮膚は4日程度で新しい血管が植皮片へ入り込み、約1週間程度で生着する。ただし、移植した皮膚が壊死する、血腫ができる、感染症によって化膿するなどのリスクがある。
施術前の注意点は?
レーザー治療から植皮法まで選択肢は広いが、いずれの除去法も痛み・かゆみなどを伴う。だが、身体に負担の少ない局所麻酔を行うクリニックが多いので、痛み・かゆみは緩和されている。
除去前の注意点をまとめよう。
まず、タトゥー除去に失敗しないために、タトゥー除去をして除去が成功した家族や友人から最適なクリニックの情報を集めよう。インターネットやSNSの口コミなどの情報を安易に鵜呑みにしないように。
術前にクリニックの施術者から、インフォーム・ドコンセント(説明を受けた上での同意)を受けること、除去法から術後、費用まで詳しくカウンセリングを受け、誤解やトラブルがないように準備することが何より重要だ。
特に費用は重要だ。除去する部位、除去する形状や大きさなどによる料金設定は、クリニックによって異なる。目先の低料金に心が動きがちだが、施術のクオリティに見合ったトータルコストを提案してくれるクリックを選ぼう。
ちなみに、費用は、レーザー治療が安く、アブレーション治療(削皮術)、切除法、植皮法の順で高くなるのが一般的だ。
幸い最近は、サイト内に簡単なチェックリストを設け、見積もりが簡単に取れるので、ぜひ活用しよう。安全で高精度な除去法で、新たな一歩を踏み出してほしい。
(文=ヘルスプレス編集部)