意を決して「豚のキンタマ刺し」を頼んでみると、「仕入れ先の肉屋が休みだったから、今日は出せない」とのこと。非常に残念だ。そのため、とりあえず「カエルの塩焼き」と「サンショウ魚焼き」、瓶ビールを注文した。
お通しの冷奴をつまみにしばらくビールを飲んでいると、「カエルの塩焼き」が出てきた。カエルは「鶏肉と似ていておいしい」と聞いたことはあるが、本当なのだろうか。見る限りではまぎれもなくカエル。筋肉が陸上の短距離選手のようにたくましく、これがあの跳躍力を生み出しているのかと考えると感慨深くもある。
現実逃避はここまでにして、恐る恐る口にしてみる。なるほど、確かに味は鶏のささみと似ている。もっと細かく表現するならば、鶏のささみと白身魚の間といった感じだ。淡白ではあるが、塩が効いていて美味。目をつぶって食べれば鶏や魚と間違えてしまうかもしれない。ちなみに店長によると、食用のウシガエルを利用しているらしい。
「カエルの塩焼き」に夢中になっていると、いつの間にか店内は人で溢れ、2階までほぼ満席になっていた。客層は今日初めて来たという女子大生から、週に何度も通っているという70代男性までさまざまで、意外なことに20代の若者がかなりの割合を占めていた。
ビジュアルがこれぞ“ゲテモノ”な「サンショウウオ焼き」
常連客とよもやま話に花を咲かせていると、「サンショウウオ焼き」が運ばれて来た。まるまる1匹のサンショウ魚が串に刺されて4匹皿にのっている。小さな恐竜のようで、かなりショッキングな絵面だ。川魚は泥臭いというイメージがあるが、どんな味がするのかまったく想像がつかない。
しっぽから食べてみると、サクサクと香ばしく、甘辛い佃煮風に味付けされている。胴体に向かうにつれて肉感が増し、グニュグニュとした食感になるため、好き嫌いが分かれそうだ。お腹の中には卵が入っており、ビジュアル的な破壊力はこれまた凄まじい。同行した友人もチャレンジしていたが、半分まで食べてリタイア。「味はおいしいが、見た目がグロテスクで胃が受け付けない」とのことだった。
ちなみに、サンショウウオは滋養強壮にいいとされており、漢方薬の材料として使用されることもある。貧血防止や月経不順にも効果があるといわれているため、特に女性におすすめの食材なのだ。