40歳以上の日本人で、実に2人に1人が該当するといわれる高血圧。もはや立派な「国民病」といえる。現在の日本のガイドラインでは、最低血圧が90mmHg、最高血圧が140mmHgを超えると高血圧と見なされる。
3年前に日本人間ドック学会が血圧の「基準範囲上限値」として147mmHgという数字を発表し、ちょっとした騒動になった。そのため「147mmHgまでなら大丈夫」と思っている人がいるかもしれないが、それは誤解だ。
147mmHgとは、あくまで人間ドックの現場において、健康な人の集団で見た「測定値の上限」という意味だ。つまり、現時点でその数値までの人は「健康である割合が高かった」ということにすぎない。
実際、心筋梗塞などの疾患になる相対リスクは、140mmHgを超えると3倍に跳ね上がる。従って、最高血圧が140mmHgを超えれば高血圧とされることに変わりはないので、自己判断は控えるようにしたい。
推奨値の2倍も塩分を摂る日本人
日本人に高血圧が多い原因のひとつは、塩分摂取量の多い食生活だ。適切な塩分摂取量として厚生労働省は、「男性1日10g未満、女性1日8g未満」を目標に掲げている。それに対して、2012年時点での日本の成人1日あたりの食塩平均摂取量は、男性で11.3g、女性で9.6gだ。
一方、WHO(世界保健機関)は、日本人男性平均の半分に近い6g未満を推奨。世界基準に照らしても、日本人はまだまだ塩分を摂りすぎている。
ところが現代は、特に塩からいものを好まず、“普通”の食生活をしているつもりでも、塩分量を推奨値に抑えるのは至難の業だ。昼休みに外で食べるランチは、だいたい味が濃い。加工食品にあるナトリウムの「食塩相当量」表示を見ると、一品で1日に許された塩分の半分以上を摂ってしまうものがザラにある。
血圧は気になるけれど、減塩は難しい--。そんな悩みを持つ人に、最新研究から朗報がある。「カリウム」の豊富な食品をたくさん摂ることが、食事の塩分を減らすことと同等に血圧を下げる効果があるというのだ。