近赤外線が持つ効果
一方、同大学の同僚で生物医学の准教授Jeri-Anne Lyons博士によると、難病として知られる多発性硬化症(MS)は、ある波長の近赤外線の照射によって改善しうることをマウス実験で確認している。また、同大学のJanis Eells教授によると、毒作用によって視力を失ったネズミへ近赤外線を照射する実験においては、繰り返しネズミは視力を回復させたという。どうやら近赤外線には炎症を抑える作用があるようだった。
Eells教授はさらに実験を重ね、近赤外線はミトコンドリアとシトクロムC酸化酵素に作用して細胞を修復させ得ることを突き止めるに至った。だが、現時点では、どれだけの強さで、どれだけの時間曝すのが最善なのかを含め、まだ詳細はわかっていないが、具体的に、670nmと830nmの波長は有益であるものの、730nmの波長は決して有益とはいえないという。
なお、波長670nmは可視光線における赤色光、波長730nmはさらに赤外線に近い濃い赤色光、そして、波長830nmは赤外線領域に入った不可視の電磁波に相当する。つまり、赤色光の領域にあればどれも同じような効果が期待できるわけではないことがわかる。
色を使った民間療法
実は光線療法に限らず、色を使った民間療法は世界的に知られている。日本では、治癒効果のある色をシールにして、皮膚表面に張り付ける色彩療法が存在する。たとえば、国際色彩診断治療研究会会長の加島春来氏は、色がさまざまな病気や怪我に治癒効果をもたらすメカニズムの解明に尽力した先駆者である。加島氏によると、障害を受けた細胞から出る波長と同じ波長をもたらす色のシールを体に貼付すると、色の波長が病気の波長を打ち消して、細胞や組織を正常化させていくのだという。
色彩療法によって多くの人々が治癒効果を体験してきているため、色が人体に無視できない効果を及ぼしていることは間違いない。だが、患者が抱える問題、すなわち、衰弱するなどの異常を示す波長(色)を見つけ出す方法に関しては、いわゆるOリングテストとして知られる方法をはじめ、ラジオニクス的な波動測定器が利用される傾向にある。そんな方法においては、非科学的と思われがちな熟練を要する。そのため、正当医学のスタンスからは、簡単に受け入れられるものではなく、さらに客観的な診断法が望まれる。