入浴後30分くらいの体温が急速に下がるタイミングで床に就くことで、寝つきがスムーズになるという。そして、もうひとつのNG行為は「寝酒」。
「実は、お酒を飲んだときの眠りは交感神経が休息せず、本来の睡眠による機能回復が望めません。また、アルコールには利尿作用があるので、尿意によって眠りが浅くなる。そのため、『寝酒』は快眠とはほど遠いNG行為といえます」(同)
また、寝酒はアルコール依存症のリスクを高めることにもつながるため、いずれにせよ、眠るためにお酒を飲むのは好ましくないとのこと。夏はビールなどのお酒がおいしい季節ではあるが、宴会は早めに切り上げて眠りに備える必要がありそうだ。
そして、「もっとも多いのは、エアコンの使用法に関する勘違い」だと安達さんは指摘する。
「眠るときには冷房を切る、もしくはタイマーで数時間後に切るという人も多くいますが、これもNG。冷房がついている間は涼しくても、タイマーが切れた途端に家具の隙間やクローゼットの中にこもっていた熱気が放たれ、室内も体も温めてしまうのです」(同)
また、夜中に目が覚めてもう一度眠ろうとしても暑くて眠れなくなってしまう人は、室温の変化が体温調節に影響を与えてしまっている可能性が高いとのこと。
「たとえ深夜に窓を開けても、熱帯夜の外気温は25℃以上。あまり涼しくない上、防犯の観点からも窓は閉めるべきです。ぐっすり眠りたいのであれば、26℃前後の温度設定で一晩中冷房をかけっぱなしにするのがベストです」(同)
26℃前後の外気温は、体の熱を外に逃がしやすい温度なのだという。ただし、26℃で「寒い」と感じたときは1℃上げてみるなど、自分に合った室温に微調整することで快適な睡眠に近づけるとのこと。
「昔は冷房を使わずに“自然な状態で眠ること”がよしとされていましたが、その時代とは環境が変わってしまったのです。環境が変わっていても、私たちの体はまだその変化に対応できていないので、自然に眠れる環境を人工的につくり出す必要があります」(同)
これからは残暑が厳しい時期だ。「冷房を切ってもぐっすり眠れるような時代環境は終わった」と考えるのが、快眠への第一歩だろう。
パジャマや寝具は「綿」や「ガーゼ」で快眠へ
熟睡するためにも、エアコンの存在が欠かせない夏の夜。しかしながら、冷房だけに頼るのも問題だ。
「冷たい風が長時間体に直接当たっていると、体温が奪われ続け、朝、目が覚めたときに『体がダルい』と感じることがあります。冷房をつけて寝るときは、直接冷風に当たらないようにする必要があります」(同)
同様に、扇風機の風に当たり続けても体調を崩しやすくなるという。あちらを立てればこちらが立たずだが、どんな対策をとるべきだろうか?
「タオルケットやハーフケットなどの夏掛けを使う、七分丈のパジャマを着る、などの方法が効果的です。最近では、アプリと連携して個人の睡眠に合わせて朝方に設定温度を少しずつ自動で上げてくれる『おやすみナビ』や、『快眠モード』など睡眠の状態に合わせる機能が搭載されているエアコンもあるので、ぜひ活用してみてください」(同)