静かな場所の「シーン」も耳鳴りのひとつ
耳鳴りは、特徴などによっていろいろなタイプに分類される。代表的な分類のひとつが「自覚的耳鳴り」「他覚的耳鳴り」である。
●自覚的耳鳴り
耳鳴りの音が自分だけに聞こえ、他人には聞こえない。加齢に伴って生じたり、別の病気に伴って生じたり、難聴などほかの症状をまったく伴わずに生じることがある。静かな場所で「シーン」と聞こえるのも自覚的耳鳴りで、生理的な現象のひとつである。
●他覚的耳鳴り
聴診器のような器具で、耳鳴りの音が他人にも聞こえる。耳垢がたまっていたり、ゴミなどが耳に入ったりすることで起こる。血管の中を血液が流れる音が聞こえることや、耳の周囲の筋肉が収縮するときに鳴ることもある。
突然耳が聞こえなくなったら、すぐに耳鼻科を受診
難聴については、耳のどこで障害が起こっているかで分類されている。
●伝音性難聴
音を伝える部分である「外耳」や「中耳」に障害が起こって生じる。耳垢が詰まっていたり、外耳や中耳で炎症が起こっていたりする場合がある。
●感音性難聴
音を感じる部分である「内耳」や大脳に障害が起こって生じる。堂本剛たちが患った突発性難聴も感応性難聴のひとつで、なんの前触れもなく突然、片方の耳の聞こえが悪くなる病気である。
上記のように、耳鳴りも難聴も、原因となる耳垢や炎症などを治療すれば改善するケースがある。自己診断をせずに、早めに耳鼻咽喉科を受診したい。
特に突発性難聴は「発症後2週間を経過すると回復が難しくなる」といわれている。「朝起きたら耳が聞こえなかった」「キーンという音がするだけで、ほかの音が聞こえない」という症状が出たら、仕事や家事はほうっておいて、すぐに病院に行ってほしい。
難聴を放置したために、数日でまったく聞こえなくなる人もいる。早期発見・早期治療が重要だ。
(文=森真希)
森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。