安く揃う日用品に加えて、生活を豊かにしてくれるアイデアグッズまで取り揃えた100円ショップブランドは、コンビニエンスストアなどと同じく今や生活の一部分になりつつある。とりわけ、その高いデザイン性などが評価されて創業から36年間、熱心なファンを獲得し続けているのが「セリア」だ。
その店舗数は業界覇者の「ダイソー」に次ぐNo.2。2021年2月時点で、首都圏を中心として直営店舗が1727店、FC加盟店が45店を数え、合計1772店舗を展開するに至っている。近年は業界では珍しく価格帯を維持する宣言もしており、目が離せない存在である。
業界でも屈指のブランド力を誇るセリアだが、豊富なラインナップの中にはいくつか疑問符が浮かんでしまうような残念な商品があることも事実。今年も「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」は独自にリサーチを行い、「この春、買ってはいけないセリアの残念グッズ5選」を選び抜いたので、賢い買い物に役立ててほしい。
針のいらないホッチキス/110円(税込、以下同)
春は新たな職場で心機一転がんばっていくという人も多い季節。デスク周りの小物も実用的かつ安価でコスパの良いものを揃えたくなるものだが、そんなときにこのセリアの「針のいらないホッチキス」を購入するのは少し考えものだ。
ステープラーことホッチキスといえば、小さな針(針金)で書類などを止めてくれる便利な文房具だが、書類を処分する際に針を外さなければならない場面も多かったり、何より針をこまめに入れ替えたりせねばならない手間を抱えた文具でもある。
その点、本品はその名の通り、穴を開けた紙同士を織り込むことで、針を使わない接合を実現してくれる便利グッズ。確かに便利だし日常で使う分には問題ないのだが、時折接合が外れてしまうことがあるのだ。ビジネスシーンでの重要な書類などに使うと、大事な場面で焦ることにもなるので、使用するシチュエーションを踏まえて購入するのが賢明だろう。
黒シャツ用ランドリーネット/110円
実はこの商品、去年4月に掲載された記事『セリア、今買うと後悔する商品4選…すぐ壊れるピンチハンガー、ランドリーネット』でも紹介させていただいたアイテムだ。だが、今年も店頭に多く並んでいたので改めて要注意ポイントを述べておきたく、ピックアップさせていただいた。
本品は黒シャツをこのネットに入れて洗濯することで、他の衣類から出てくる色クズが付きにくくなり、綺麗に洗えるという趣向の商品。黒シャツは糸くずなどが付着すると目立ちやすいので、面倒な除去作業が省けるという触れ込みなのだが、実際の効果には少々首を傾げざるを得ない。
というのも、本品はネット部分の生地が薄く、細かな糸くずを防ぎきれないことがあるのだ。とはいえ、昨年度のバージョンのもうひとつの難点だった外れやすい金属製のファスナーはプラスチックに改良されていたので、あと少し目地を細かなものに変えてくれればかなりお買い得な商品になることだろう。
コンパクトレジ袋 M/110円
レジ袋の有料化が始まって久しく、専用のエコバッグを持ち歩く人も増えてきた今日この頃。だが、エコバッグをカバンに入れておくと微妙にかさばることが気になり、結局有料レジ袋に戻ってしまった、なんて人もいるだろう。そんなときにまとめ売りされている市販のレジ袋が役立つのだが、セリアの「コンパクトレジ袋 M」は少々注意が必要な商品だ。
その名の通りコンパクトさが売りの本品は、収納時のサイズがJRの電車の切符ほどという、抜群の収納性を誇っている。収納時の厚みも1.5cmほどなのでかさばることはほぼないだろう。展開時も縦約35cm、横約24cm、マチの幅も約14cmとたっぷりある。
ここまで聞くと文句なしなのだが、問題は収納時である。取扱説明書の指示通り正しい折り方で7回以上も畳まねばならず、実際に試したところ仕舞うたびに面倒臭さを感じてしまった。これが苦でない人には打ってつけだが、面倒臭がりの人は少々かさばっても収納が楽なエコバッグを使うのがおすすめだといわざるを得ない。
りんごカッター/110円
リモートワークで家にこもりがちだと、ついつい気が緩んでスナック菓子などを手に取ってしまいがちだが、りんごなどのフルーツを食べて体を気遣うことも大切。しかし、りんごは皮むきの処理が面倒なのもまた事実で、そんなときに役立つアイテムとして販売されているのがセリアの「りんごカッター」だ。
縦17.7cm、横10.7cmの本品は、中央に放射状の金属刃が取り付けられた器具。りんごの上からそのまま本品を押し付けることで、あっという間に8等分に切り分けられ、芯の部分もキレイにくり抜くことができるのが特徴。
実に便利なアイテムのように思えるが、ネット上では、“リンゴによっては固くて切れない”、“途中で引っかかって押すのも引くのもできなくなった”という声が挙がっているのだ。もちろん使うりんごや使用者の力加減もあるだろうが、少々不安になるのは否めない商品だろう。
ステンレス折りたたみ手付きボール/110円
季節も暖かくなり始めた初春は、屋外へと遊びに行きたくなるシーズン。新型コロナウイルスの感染リスクが比較的少ないキャンプは、人気が高まっているレジャーだ。そんななか、安価でしっかり機能する100円ショップブランドのアウトドア用品は、ベテランキャンパーたちからも一目置かれる存在であることをご存知だっただろうか。
だが、セリアの「ステンレス折りたたみ手付きボール」も、いわゆるアウトドアギアでいうところの「ステンレスクッカー」や「コッヘル」として活用できそうに思えるが、これが要注意。一般的なコッヘルが直火にかけられるものが多いのに対し、本品は直火不可。あくまで普通の器であることを覚えておかないと大変なことになってしまう。
また、取っ手部分は金属板で圧着されているのだが、ネット上ではこの圧着が弱かった商品もあるようで、“取っ手部分が取れた”という声も散見された。あくまで器として使うなら見栄えは良いが、コッヘルの代替品として購入を考えていた人にはおすすめしづらい商品である。
正直なところ、セリアのほとんどの商品は、見た目も良くコストパフォーマンス抜群の良品ばかり。今回の記事で紹介した商品でさえ、使い方や目的によっては問題なく使えるものもある。だからこそ今回の記事を参考にして、目的に合わせた賢い買い物を心がけるようにしてもらえたら幸いだ。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)
※情報は2021年3月20日現在のものです。