若者の恋愛離れが叫ばれる現代の日本。さまざまなアンケート調査でも、20歳以上で恋人がいない割合が50%を超えるといった結果は頻繁に見かけるようになった。「恋愛は面倒」「お金がかかる」「ひとりの時間が大切」といった理由で男女交際に消極的になっているとの回答が目立つ。
交際をする機会がなければ当然、性交渉する機会も減る。国立社会保障・人口問題研究所によると、18~34歳未婚者でセックスをしたことがない割合は男性42.0%、女性44.2%となっている(2015年)。過去10年間を見れば、国内の性交渉未経験者の比率は上昇傾向となっているのだ。
性に興味がなくなった若者に、セックスの大切さを知ってもらおう――。このような理念を掲げ、セックス講習会を開いている企業が増えている。どのように性交渉をすればいいかわからない若者たちに文字通り、手取り足取り教えているという。東京を中心に講習会を開いているフリーダムプランニングに、セックス講習会を始めた理由について話を聞いた。
「当社は、『人々を元気にする、元気になってもらう』ことをコンセプトに講習会を行っています。人はひとりでは生きられませんし、疎外感を克服しないかぎり精神的な安定は得られません。それらをすべて解決する方法がセックスの中に隠されているのです。
セックスは生命の根源的なセクシャルエネルギーを生きる原動力に転化してくれます。会社をご自分で経営されている方や管理職の方、目標に向けて走り続ける方、成し遂げたい夢がある方には、ぜひ受講していただきたいですね」(フリーダムプランニング代表)
また、関西を中心に女性目線でのセックス講習会を開いているDAYDREAMにも話を聞いた。
「当社のセックス教室は、AVなどから得られる知識だけのテクニックに重きを置いたものではありません。特に男性の場合は、自分勝手なセックスになりがちです。そこで当社では、女性から何度でも求められるような、愛されるための講習を心がけています。
オイルマッサージを取り入れた講習では、心と体をリラックスさせることで女性の“感じる力”を最大限引き出すことができます。セックスとは、まさにコミュニケーションであり、人間関係などあらゆるものに通じる手段です。セックスとは本来、相手の気持ちを思いやる心遣いを学ぶことができるものなんです」(DAYDREAM代表)
“実技”の内容は?
セックス講習で行われる“実技”では、もちろん本番行為はNGだ。このような講習を行っている業者は、無店舗型性風俗特殊営業の届け出を提出していることが多い。無店舗型性風俗特殊営業とは、派遣型デリヘルなどが提出しているのと同じ申請書類になる。店舗を持つと小学校など近隣環境からの規制が大きいため、比較的申請が下りやすい無店舗型を選択するのだという。
「もちろん本番行為などはありません。またセックス講習を営業する場合、無店舗型性風俗特殊営業の届けが必要です。弊社の場合、東京都公安委員会に受理されています」(フリーダムプランニング代表)
本番行為は、戦後まもなく制定された売春防止法によって禁止されている。性風俗でも、許されるのは手淫や口淫といった「性交類似行為」までだ。
「性に興味がない、関心がない」という若者が増えてきた社会情勢を受けて、新しいかたちで誕生したセックス講習会。講習代金は一般的な風俗店よりも割高だが、普段誰からも指導されることのない“セックスの仕方”を教わる貴重な機会となりそうだ。特に女性から性の悩みについて相談を受けているメイクラブアカデミーの中原雅人代表は、既婚者にこそ受講してほしいと語る。
「多くの女性から、イク経験がない、中でイケない、満足感がないなどの悩みを聞いてきました。その原因は女性にある場合もありますが、多くが男性側にあると思っています。男性のほとんどは、AVの影響を強く受けています。AVのセックスとリアルのセックスの違いがわかっていないのです。ですから私たちはひとりでも多くの男性、特に既婚男性に受講していただき、夫婦に快適なセックスライフを送ってほしいのです」(中原氏)
講習では、女性の反応を知る大切さを学ぶなどの実習を受けるという。セックスに奥手な現代人向けのサービス需要は、今後も高まりそうだ。
(文=OFFICE-SANGA)