南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

糖尿病日本一の香川県「糖尿病予防レシピ」、かえって患者増加の恐れ?


 精製度が低い複合炭水化物には、十分な量の食物繊維が含まれており、その働きで血糖値が一気に上がるのを防いでくれます。消化にある程度の時間がかかるため、ゆっくり分解されたブドウ糖が、膵臓から出るインスリンというホルモンと結びつき、細胞内に摂り込むことが可能な形になります。

 つまり、単純炭水化物ばかり摂っていると、急激に分解されたブドウ糖が一気に血液中に入り込み、血糖値を上げてしまいます。そうなると、インスリンの分泌が間に合わなくなってしまったり、やがてインスリンが出なくなってしまったり、要するに血糖値が下がらなくなるのです。これが、徐々に糖尿病に近づいてしまう要因のひとつになるわけです。

 先ほど、香川県の「糖尿病予防ナビ」の中のレシピを批判しましたが、それはこのレシピが上記の重要な2つの炭水化物のことを考慮していないためです。それは由々しきことです。

 間違った知識を基にして、子供たちに間違った食生活を送らせるのは罪です。それによって、その子の一生が決まってしまうことさえあるからです。いけないのは、うどんではありません。うどんを、白い小麦粉でつくるのがいけないのです。同様に、少々野菜を多めに摂ったからといって、白米を食べ、砂糖で味付けしたおかずを食べていたのではなんにもならないどころか、かえって糖尿病になる可能性が高まってしまうのです。

「糖尿病予防ナビ」のレシピが書き換えられることを願ってやみません。また、安易に低炭水化物ダイエットに取り組む人がいなくなることも願います。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

関連記事

ライフ最新記事

編集部イチオシ企画
Business news pick up

RANKING

23:30更新

ライフ

ビジネス

総合

SNS

糖尿病日本一の香川県「糖尿病予防レシピ」、かえって患者増加の恐れ?のページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!