重症時にO型の人が「死ににくい」理由…血液型と人の特性に関する研究
かつて「血液型占い」が大流行したことがある。日本人の約40%はA型、30%はO型、20%はB型、10%はAB型で、それぞれの血液型を持っている人の性格気質が、
・A型=几帳面
・O型=おおらか
・B型=マイペース
・AB型=芸術家タイプ
などと分類されている。また、それぞれの血液型によって相性がいい、悪いもあるという。
こうした傾向が存在することをまったく信じない人もいるが、去る5月2日に救急医学の専門誌に発表された、東京医科歯科大学の高山渉特任助教(外傷外科)の研究結果「O型は他の血液型に比べて血が固まりにくい」から、やはり血液型によるいろいろな特性が存在することを垣間見ることができる。
・成人の体内の血液量(l=リットル)=体重(kg)×1/13
なので、体重52kgの人には約4lの血液が、65kgの人には5lの血液が体内に存在するということになる。
ケガや手術で40%の血液が失われると、生命に危険が及ぶ。
さて、高山助教は2013~15年度に重いケガで東京医科歯科大学など2病院に運ばれた「901人の患者」のデータを解析したところ、死亡率は「O型=28%、O型以外=11%」である、という結果を得た。「止血作用する血球(血小板)が凝集するときに必要なタンパク質が、O型では不足しているから」だという。
ということは、「血栓が脳動脈や心臓の冠動脈、肺動脈に、詰まって起こるエコノミー症候群や脳梗塞や心筋梗塞の発症率は、O型の人は少ない」ということになる。ちなみに、B型の人はがんになる確率が、ほかの血液型の人よりは少ないことがわかっている。
「ABO式」の基礎知識
さて、「ABO式」の血液型は「赤血球の型」を判定するものであるが、「抗原」によって分類されている。人体内に病原菌やアレルゲンなどの有害物質(抗原)が侵入してくると、Bリンパ球(白血球の一種)が「抗体」をつくって応戦する。これが抗原・抗体反応で、抗原・抗体複合物が体内のマスト細胞を刺激し、そこから分泌されるヒスタミンなどによってアレルギー反応(蕁麻疹や喘息)などが起こる。
B型の血液をA型に輸血するとB型に含まれる抗原により、A型の人の赤血球や白血球が溶けたり、逆に凝血したりして生命に危険を及ぼすこともある。よって輸血するときは、同じ血液型を選ぶのが原則だ。