「杜の都(もりのみやこ)」と呼ばれる宮城県仙台市には、東北大学がある。旧帝国大学のひとつで、研究第一主義を標榜している大学だ。そのためか、さまざまなおもしろい実験をしている。たとえば、現代の食事と40年前の食事では、どちらが健康的かということを研究するために、実際に20歳から70歳までの人、計92人を対象にした食事に関する実験も行っている。
BMI指数が24〜30以下の軽度肥満者の方60人と、健康な方32人に、現代の食事と1975年頃の日本の食事を4週間(28日間)食べてもらって、その結果を集計した。
結論から言うと、1975年型の食事を食べたグループは、明らかな体重減少とBMIが下がるという結果が出た。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や、糖尿病の指標とされているヘモグロビンA1cは減少するが、HDLコレステロール(善玉コレステロール)は増えた。要するに健康のレベルが上昇したのだ。
また、32人の健康な方のうちの、1975年型の食事を食べたグループでは、ストレスの軽減や運動能力の向上が見られたという。
世界中から注目されて、その素晴らしさが認められている「日本食」だが、果たして現代の日本食が、本当に世界に誇れるものなのかは甚だ疑わしく、むしろ私たち自身が、その実態をもっとよく知ったほうがいいのではないだろうかと、筆者は考えている。
現代の食事と比べて、1975年型の食事のほうが良い点の筆頭は、主菜と副菜を合わせて3品以上食べているということである。そこには、さまざまな食材が使われており、それだけ幅広く栄養素が摂取できているといえる。その栄養素は、本連載でいつも筆者が言及している、必須栄養素と植物栄養素の両方のことだ。
次に重要なのは調理法で、1975年型の食事では「煮る」「蒸す」という調理法が多く、また「生」の食品も多く食べられている。それに比して現代型の食事では、食用油を多用する「揚げる」「炒める」が主流だ。繰り返し述べてきているように、この調理法自体に大きなリスクがある。