W杯、日本代表に潜む重大な懸念材料…ポーランドは危険な存在、別次元の仕掛けに注意
仮にポーランドが真の勝者のメンタリティを持っていたら危険です。結果はグループリーグ敗退であったとしても、自分たちの誇りを守るために全力で「自分たちのサッカー」の価値を証明しにくるでしょう。それこそ、失うものなどないので、前2戦以上にリスクを厭わないチャレンジを仕掛けてくると思われます。良いところが目立たなかったセネガル戦、コロンビア戦でしたが、その時とはまったく別次元のチームとして日本の前に立ちはだかることでしょう。
なので、日本にはポーランド以上にリスクを恐れずにチャレンジを続けることが求められます。そのためにも、変な勝者のメンタリティではなく、2戦で結果を出した弱者のメンタリティを貫いてほしいところです。
日本代表が真の勝者のメンタリティに目覚めたら、企業はお手本にしてほしい
選手個々でみると2連戦で長谷部誠、香川真司、乾貴士にはやや疲れが見えるといわれています。西野監督が選手の疲労をどのように考慮するのか、選手の入れ替えでチームが変わるかが見どころの一つです。
また、セネガル戦の原田元気は失点につながったクリアミスや、アタッキングサードでボールを持った時に迷ったような動きもありました。もともと攻撃中心の選手であった原口ですが、攻守のバランスも求められる役割に少々疲れているようにも見えます。
ただ、かつて同僚だった闘莉王に「サッカー選手として必要なものをすべて持っている」と言わせた可能性の塊のような選手です。次戦ではゴールを決めて迷いをなくして、このW杯で大ブレイクしてくれることを期待します。
控えになっていますが、宇佐美貴史も「世界トップレベルの技術」と独メディアも絶賛する天才です。「もっと努力ができれば……」と嘆く独メディアもあります。奇しくも昨シーズンは同じチームでブレイクした原田と宇佐美が真の勝者のメンタ リティに目覚めたら、日本代表はもっと面白いチームになるでしょう。
仮に試合を通して日本代表選手の全員が真の勝者のメンタリティに目覚めて勝利してくれたら最高です。今ひとつ勝ちきれない日本企業が勝ち続ける企業に脱皮するヒントが、ここから得られるかもしれません。サッカーは見て楽しむだけのものだけでなく、自分たちのあり方を学ぶ最高の教材でもあるのです。
(文=杉山崇/神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授、臨床心理士)