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山田まさる「一緒に考えよう! 超PR的マーケティング講座」

抜かずに選べ!炭水化物。 糖質制限ダイエットで、善玉菌が飢えている?

文=山田まさる/インテグレートCOO、コムデックス代表取締役社長

 さらにもうひとつ懸念すべき大事なポイントは、糖質制限からの派生で、徹底して「炭水化物」を抜いた結果、「食物繊維」まで不足して腸内環境が劣化してしまうということだ。先ほどの認識調査では、「食物繊維は野菜から摂取する」という消費者の傾向もうかがえるが、レタスやキャベツのような葉野菜においては、おなかの中をきれいにお掃除する働きがある不溶性食物繊維(消化されずにそのまま便として排出される食物繊維)は含まれるが、腸内細菌のエサになる水溶性の食物繊維は含まれない。つまり、野菜からは摂取しづらい食物繊維をどう補うかが問題なのだ。実は今、日本人の食生活において、腸内フローラを健康に保つ水溶性食物繊維が決定的に不足しているのだ。その結果、日本人の腸内劣化が進み、大腸がんをはじめ、腸の疾患は増加しているというデータもある。穀物系の食物繊維としてもち麦やスーパー大麦をご紹介したが、これらには水溶性食物繊維(類似するでんぷん質)が豊富に含まれており、日本人の食生活の穴を埋める役割が期待されているのである。

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』では、炭水化物は白い炭水化物と茶色い炭水化物に大別されており、その違いから、科学的データの示すところとして、白い炭水化物は避けたい、茶色い炭水化物は積極的にとるべきだとされている。

 ちなみに、世界中の民族の腸内フローラの研究によると、腸の長さも細菌叢(さいきんそう)も民族によって特徴があるらしい。日本人の腸内フローラの特徴としては、おなかの中に棲む良い細菌たちが穀物系の食物繊維(一部、でんぷん)を好むという。低糖質で高繊維な食生活を志向すること自体は決して間違いではないのだが、まるっと炭水化物を抜いてしまうと、この穀物由来の水溶性食物繊維(一部、でんぷん)まで抜いてしまうことになり、腸内が荒れることにつながる。

 糖質制限を実践中の読者にお尋ねしたい。あなたの腸に食物繊維は足りていますか? 少しでも思い当たる節があれば、“茶色い”炭水化物から「腸のエサになる食物繊維」を摂ることをおすすめします。
(文=山田まさる/インテグレートCOO、コムデックス代表取締役社長)

山田まさる

山田まさる

株式会社インテグレートCOO、株式会社コムデックス代表取締役社長

1965年 大阪府生まれ。1988年 早稲田大学第一文学部卒業。1992年 株式会社コムデックス入社。1997年 常務取締役、2002年 取締役副社長就任。2003年 藤田康人(現・株式会社インテグレートCEO)とB2B2C戦略の立案に着手。2005年 食物繊維の新コンセプト「ファイバー・デトックス」を仕掛け、第2次ファイバー・ブームを巻き起こした。同キャンペーンは、日本PRアワードグランプリ・キャンペーン部門賞を受賞。2007年5月、IMC(Integrated Marketing Communication)を実践する日本初のプランニングブティックとして、株式会社インテグレートを設立、COOに就任。2008年 株式会社コムデックス 代表取締役社長に就任。同年「魚鱗癬」啓発活動にて日本PRアワードグランプリ・日常広報部門最優秀賞受賞。著書に『スープを売りたければ、パンを売れ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『統合知~“ややこしい問題”を解決するためのコミュニケーション~』(講談社)、『脱広告・超PR』(ダイヤモンド社)がある。


株式会社インテグレート

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