がん、免疫療法ブームに踊らされ「死なないため」に…やってはいけない病院選びの注意点
まして、今回の本庶先生の免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤といい、現状では効果が期待できるがんの種類などは限られています。またこれに限らず、あらゆる抗がん剤は副作用などもあることから、慎重に投与することは当然として、投与する適応も慎重に検討されることが必要な薬剤なのです。
つまり、がんの治療は「何がなんでも免疫療法」ではないのです。私は、選択肢のひとつでしかない免疫療法を大々的に宣伝している医療機関に疑問を感じずにはいられません。
選ぶべき施設の条件2:自由診療ではなく、保険診療の施設である
現在(2018年10月5日時点)、国内で承認されている免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(販売名:オプジーボ)、ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)、アテゾリズマブ(販売名:テセントリク)、アベルマブ(販売名:バベンチオ)、デュルバルマブ(販売名:イミフィンジ)、イピリムマブ(販売名:ヤーボイ)です。
それぞれの販売名と「添付文書」という言葉を入れれば、それぞれの薬剤の効果効能(つまり適応)を誰でもインターネットで見ることができます。ここに示されているがんであれば、多くの場合3割負担の保険適応で治療は受けられるのです。
仮に、免疫療法の薬剤を、標準的ではない新しい治療法のひとつとして、医療機関の説明と患者の同意のもとでトライするのであれば、正当な学術的背景根拠のあるものの場合、多くの場合は治験治療として無料で受けられることが多いのが実情です。
いろいろな理由を述べて、オリジナルな免疫療法を勧める医療機関やホームページがあるようですが、考えてみてください。本当に効く薬や方法であれば、世の中大きな資本の製薬会社がたくさんあるのに、放置されるわけがないのです。ちょっと冷静に考えてみればわかることですね。
選ぶべき施設の条件3:薬が効かなくなったとき、最後を看取ってくれますか?
がんはまだ克服されていない病気です。日本で2006年から2008年にがんと診断された人の5年相対生存率は男女計で62.1%(男性59.1%、女性66.0%)でした。つまり、がんと診断された人の3~4割は5年以内に命を落としているのです。また、ほかのデータでは日本人ががんで死亡する確率は、男性25%(4人に1人)、女性16%(6人に1人)といわれています。
どのような治療を受けたにせよ、がんはまだ克服されていないということが現実です。標準的治療のなかでも、抗がん剤は投与してみなければ効くか効かないかはわかりませんし、効果のあった薬もだんだんと効果がなくなってくることもあります。そのようななか、がんの治療の際には当然、「どうやって人生の最後を迎えるのか」ということも考えなくてはいけません。