中西貴之「化学に恋するアピシウス」

市販のカレー、胃がん細胞減少作用が発見される


 そんななかで、研究者らはGO-Y022にクルクミンの5倍ものがん化抑制作用があり、しかもこの物質はクルクミンを加熱することによって自然発生することを見いだしました。さらに、摂取したGO-Y022は胃の粘膜にとどまってがん細胞に作用するため、副作用の心配のない化学物質であることがわかりました。

GO-Y022の構造式

 なお、カレーといえばカレーライスですが、最近は糖質制限食ブームでごはん抜き料理が流行しており、カレーもおからやキャベツの千切りにかけて食べる人が増えています。食事の満足感は得られるものの、極端な糖質制限食は免疫力の低下を招き、さまざまな疾病につながる可能性が指摘されているほか、日本の農業に打撃を与え、国の食料自給力の低下にもつながります。やはり、カレーはしっかりとごはんにかけておいしくいただきたいものです。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部)

【参考資料】
カレーハウス | ハウス食品

カレーのスパイス『クルクミン』が熱変性したGO-Y022 が胃癌を抑制することを解明」(秋田大学)

『食品機能性の科学』(食品機能性の科学編集委員会編/産業技術サービスセンター発行)

中西貴之/宇部興産株式会社 品質保証部

宇部興産品質保証部に勤務するかたわら、サイエンスコミュニケーターとしてさまざまな科学現象についてわかりやすく解説

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