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トイアンナ「私は言いたい」

日本、恋愛する人は少数派に…「結婚できない」という言葉が消える日

トイアンナ/ライター、性暴力防止団体「サバイバーズ・リソース」理事
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 確かに、女性の「結婚適齢期」と言われがちな27~32歳は、ちょうど仕事で管理職となり裁量権が増える時期だ。著者は以前、総合商社の課題について詳しいヒアリングを行った。そこでも「30代にならないと、裁量ある仕事がもらえない。女性がそこで結婚や出産を優先させるなら、やりがいのある仕事は任せてもらえない。結果として優秀でも退職してしまう」という課題が露呈していた。

 取材をした2016年から、日本の社内教育制度が大幅に変わったわけではない。そして恋愛よりも仕事が楽しいなら、彼氏彼女は「できたらいいな」というレベルに優先順位が下がるのも納得できる。

少しずつ変化する職場環境

 ただ、以前と異なるのは周囲の環境だという。原料メーカーに勤める30代の社員、Bさんはこう語る。

「10年前と比べてセクハラは明らかに減ったと思います。私が入社した頃は『いつ結婚するつもり?』と聞くことがセクハラになるなんて考えてもみなかった先輩が多かったはず。

 ですが、セクハラ研修や実際の処分もあって、そのへんセンシティブになったと思います。過ごしやすくはなりましたね。私も後輩に気を遣いますけど、でもそれって当たり前のことですし」

「いつ結婚するの?」「子どもは?」「絶対結婚したほうがいいよ」といったお決まりのセクハラワードは、徐々に職場から消えつつある。筆者はセクハラの被害を聞きやすい立場にあるため、旧態依然とした企業が多いことを知ってはいるが、セクハラ対策へ取り組む企業がまだ6割ではあるが変化の兆しはあるようだ

男女両方にとって、日本の未来は明るい

 ここまでお読みいただいた方には、冒頭の「結婚できない」というフレーズがなぜおかしな響きを持つか、なぜ、より女性が暮らしやすいイギリスでは発されないか伝わったと思う。「結婚できない」という言葉には「結婚する人間は社会的に優れた人間だ」という前提がある。だが、「結婚する人も、しない人もいて当たり前だよね。それが人間の優劣を決めないよね」という前提が共有されているならば、「結婚できない」と自虐したり、他人をけなしたりはしないはずだ。

 2018年は東京医科大学の不正入試や#MeTooなど、男女差別に光の当たるニュースが多かったが、今まで堂々とまかり通っていた不正やセクハラが明らかになっただけでも進歩が見える。

 恋愛をする20代男性が3人に1人しかおらず、4人に1人が生涯未婚の今、結婚しない人が全員「劣っている」などという差別は減っていくだろう。日本から「結婚できない」というフレーズが消える日も近いと、筆者は見ている。
(トイアンナ/ライター、性暴力防止団体「サバイバーズ・リソース」理事)

トイアンナ/ライター

トイアンナ/ライター

外資系企業にてマーケターとして勤め、独立。累計5,000人以上の人生相談を受けた経験を受け、恋愛とキャリアを中心に執筆している。これまでにWebを中心に100媒体以上で連載を持つ。書籍に『モテたいわけではないのだが』『確実内定』『やっぱり結婚しなきゃ!と思ったら読む本』など。現在は、公式サイト「恋愛塾」で恋愛関連記事を掲載中。
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Twitter:@10anj10

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