プチプラでも“高見え”!オペラのリップティント、大ヒットの納得の理由!オン&オフ両使い
5月中旬、東京は表参道の駅の広告、デジタルサイネージをジャックしたのが、プチプラ(=プチプライス)口紅として大ヒット記録更新中のオペラのリップティントのリニューアルの告知だった。年間10万本でヒットといわれる口紅にあって、前身のリップティントは2016年の発売から500万本以上を売り上げた、オバケリップ。
今、美容業界は空前のリップブームに沸いていて、「新客は口紅が連れてくる」と言われるぐらいブランドにとって口紅は重要な位置づけなのだ。各ブランドが口紅の販売に力を入れ、名前や絵柄をケースに刻印するモノグラミングサービスや人気キャラクターとのコラボレーション、一挙に30~40色を出すなど話題づくりに事欠かない。
そんなリップブームのなか、オペラのリップティントはまるで“口紅界のZARA”とでもいうべき存在。お手ごろな価格だけど、おしゃれ感もあって、誰もがデイリーに愛用するために1~2本は持っている。まさにさらっと着るだけでモードなエッセンスを醸し出せるZARAのワンピースのようではないか。「おしゃれな色だね、どこの?」と聞かれたら、「オペラだよ」「えっ、真似していい?」なんて言われることも多々。ハイブランドの口紅はもちろん、素敵だけど、誰もが気軽にバンバン買えるプライスではないし、昨今モデルや女優たちの唇をくっきりはっきりと彩るマットリップはメイク通じゃない身にはなかなかハードルが高く、万人が手を出せるトレンドではない。
そこでオペラだ。リップクリームのようにさらっと塗れて、カラーベールをかけたようなつややかな仕上がりはメイク初心者でも気軽にトライでき、かつOLさんが仕事場でつけても、ママが保育園のお迎えにつけて行っても浮かない“マス対応”ときたら、こんなに売れているのも納得というわけ。
リアルに買える価格と機能性で旋風を巻き起こすプチプラコスメ
ビューティもファッションも業界にいる人たちはとかく最先端に焦点を合わせがち。ビューティで言うところの頂点、デパコス(=デパートコスメ)の売上は市場全体の10%強程度と言われている。
にもかかわらず、雑誌の特集はデパコスの掲載が中心であることが多い。高価格の製品だからこそ消費者は買う前に情報を得たいと思うのだから、それ自体は間違っていない。しかもファッションと違って、コスメであればシャネルやディオールといったハイブランドのものでも、がんばれば手に入るというのもビューティならではの醍醐味。男性が高級車は買えなくても、車雑誌でそのスペックを調べるのと同様、美しいハイブランドの化粧品を見ることは女性の楽しみだ。その一方でデイリーに使えるコスメを探す消費者にとって、価格は購入する際の重要なポイントであることは紛れもない事実。
ユニクロがこれほど普及したのは、服にファッション性を求める一部の人ではなく、毎日あれこれと服を選ぶストレスから解放されたいという願いを潜在的に持つ、ファッションが苦手な人をターゲットにしたからだと言われている。洋服に興味がないからといって服を着ないわけにもいかない。だからこそ手ごろなプライスで機能性が高く、そこそこおしゃれに見えるユニクロの服はファッションにこだわりを持たない多くの人を惹きつけたのだ。