ビジネスジャーナル > ライフニュース > 劣悪な無料PCR検査所も混在
NEW

劣悪な無料PCR検査所も混在、真逆の結果も…信頼できる検査所の見極めポイント

文=Business Journal編集部
【この記事のキーワード】, ,
劣悪な無料PCR検査所も混在、真逆の結果も…信頼できる検査所の見極めポイントの画像1
東京・赤坂の無料大規模PCR検査センター

 新型コロナウイルス感染症の無料PCR検査所が全国各地で先月ごろから急増している。検査体制を拡充するとの政府方針の下、各都道府県が補助金などで支援するかたちで民間業者の参入が進んでいるためだ。もともと医療とは無縁の業者なども多く、検査の信頼性は玉石混交というのが実態だ。「第7波」の到来の懸念もあるなか、3月6日に開催された東京マラソンの全参加者のPCR検査を受託した実績のあるエフメディカルエクイップメントの小田啓太社長に、良い無料検査所を見分けるポイントについて聞いた。

 小田氏は自治医科大学でAI診断支援の研究を行う特別特命准教授も務めている。Googleエンジニアや東京大学病理学教室の特任研究員だったキャリアから、テクノロジーに精通した医療関係者との関係も深い。

劣悪な無料PCR検査所も混在、真逆の結果も…信頼できる検査所の見極めポイントの画像2
エフメディカルエクイップメントの小田啓太社長

検査精度よりも営業力や、広告などマーケティングが幅を利かせている

――最近、東京都内で無料PCR検査所が急増しています。都のホームページによると、現在、無料検査拠点は約850カ所で1月末時点の約3倍に増えた。全国でも突然無料検査所が増えたと感じている方も多いです。

小田 東京で進められているPCR等検査無料化事業は昨年末から医療機関などを皮切りに始まり、検査事業者の募集は2月末まで実施されていました。徐々に認定を受けた検査事業者が開業し始めたのが1月後半から2月ごろのため、最近急に検査所が増えたという印象を持たれるのだと思います。

――この認定業者のなかには、もともと医療とはまったく関係のない業者も少なくありません。検査を受ける側としては、その結果が本当に信頼できるかは、どうしても疑ってしまいます。

小田 PCR検査の精度は検体を核酸抽出する作業やその結果を解釈する技師の腕に左右されるため、検査機を導入しただけでは不十分です。

 日本国内のコロナのPCR検査体制の基準が曖昧なことも問題で、同じ検体でも業者によっては、「陽性」だったものが別の業者では「陰性」だったというケースが生じるのもそのためです。また、仮に大手であっても粗悪な検査キットを使用していることもあります。残念なことに、検査精度よりも営業力や、広告などマーケティングが幅を利かせているのが現状といえるでしょう。

――検査体制の基準が曖昧というのは?

小田 各業者の検査体制がブラックボックスになっていて、第三者のチェックが入らないことです。ひどい業者になると、保管していた検体から唾液が漏れて別の検体に触れてしまい結果が真逆になるなどの事態が実際に起きていると推測されます。

 本来、PCR検査は一つの遺伝子を人工的に増やすもので、少し別の遺伝子が混入してもすぐに陽性反応が出てしまうため、非常に繊細な検査体制が求められます。私のある先輩医師が今回の検査について「1日50件が限界」と話していたのですが、確かに検体の保管や今どの工程にあるのかを逐次管理しないと、特に小規模な医療機関や業者ならすぐに混乱してしまうと思います。

――病院などの医療法人が検査システムを監督しているところは信頼できる?

小田 仮に医療法人が監督しても、利益を優先して検査設備やチェック体制への投資を低く抑えてしまったりする場合があるため、その業者のモラルの問題も大きいです。結局、検査事業というのは真面目にやればやるほど費用がかさみますが、逆に雑にやれば濡れ手に粟の利益が出るという構造があります。今回、民間事業者は検査をやればやるほど税金というかたちで確実に自治体からリターンが返ってくるわけですから、そういう心理が働くのは無理もありません。

 本来、患者や検査を受けた人に誠実に接することを職業倫理として求められる医療関係者ですら利益に流されるパターンが少なくないのに、もともと利益をあげることが当然の他業界からの参入者は言わずもがなでしょう。

良い無料検査所を見分けるポイント

――では、何が良い無料検査所を見分けるポイントになるんでしょうか?

小田 まず、陽性の結果が出た場合、病院外来までセットになっているところはかなり信頼できるといえます。こうした業者は医療機関との関係がある上、その医療機関も地域を守るという職業倫理があるから受け入れるわけです。先ほどの検査のコストとモラルの問題と一緒で、コロナの発熱外来は他の患者と接することがないようにさまざまな工夫をしないといけないので、病院側としては基本的にコストにしかなりませんから、あえてそれを引き受ける病院はプロ意識が高いとみていいと思います。

――なるほど。他にはありますか?

小田 意外に思われるかもしれませんが、客観評価としての「中国への渡航前検査」の指定検査機関に選ばれているかが重要です。先ほど指摘したように日本国内の業者の検査体制はブラックボックスとなっているなかで、中国が海外からの渡航者に課した厳格なPCR検査の基準を突破するかが、一つの指標となります。渡航者は中国に到着した後でも検査を求められますから、そこでの検査結果と日本での検査結果が正反対のケースが頻発すると、現地当局から指定検査機関の認定を取り消されてしまうというわけです。

 中国は共産党統治の下で、日本よりは200倍厳しいとされる基準がトップダウンで民間業者にも下りてきます。在日中国大使館は北京五輪前の2月28日搭乗分から渡航前に必要なPCR検査回数をそれまでの2回から3回に引き上げましたが、この過程で資格停止になるところも出ています。

――貴社ではどのような工夫をされているんですか?

劣悪な無料PCR検査所も混在、真逆の結果も…信頼できる検査所の見極めポイントの画像3

PCR検査の様子

小田 弊社はコロナ禍が拡大し始め、まだ国内のPCR検査体制が脆弱だった20年9月という早期から、PCR検査業務を開始していた強みがあります。検査体制も医療法人社団べスリ会東京TMSクリニックと提携しており、検査に携わるメンバーの多くが東大や福島医大の医師や医学生など、感染症についての高度な知識と経験を持っています。検査キットの研究開発も手がけているため、変異種が出たとしても柔軟に対応できる強みがあります。先ほどご紹介した中国の渡航前の指定検査機関の点でも、中国当局の都内での推薦医療機関5位に選ばれています。

――小田さん自身、現役の自治医科大学の准教授であり、Googleのエンジニアとしての経験もあるユニークなキャリアです。

小田 実はこのキャリアが弊社の検査体制に貢献しています。弊社は大手の検査業者と比べると人数では敵いませんが、検体管理など社内のシステムをIT技術を使って圧倒的な速さで構築する開発力はどこにも負けない自信があります。他の業者で社内に自前のエンジニアを持っているところはほぼなく、基本的にIT業者に外注して作ってもらうしかないのですが、弊社なら1日、早ければ数時間で完成させられるため、効率化を徹底できます。

郵送型PCR検査サービス「PCR now」

 日本政府は3月22日から全国のまん延防止等重点措置を解除したが、4月6日現在で東京都の新規感染者は8652人と減少スピードは遅い。春を迎え人の動きも活発化するとみられるなか、新たな変異種の登場や第7波の到来の可能性など予断を許さない状況は続きそうだ。東京の無料PCR検査の期間は4月24日まで延長された。きちんとした業者を見極めながら有効利用したいものだ。

 エフメディカルは20年9月から郵送型PCR検査サービス「PCR now」を開始している。インターネットで申し込み、届いた検査キットで唾液を採取して返送すれば、早ければ検体到着の翌日には結果を確認できる。全国のセブン-イレブンでも購入できる。税込価格は往復送料込みで8470円。無料検査所は東京の赤坂見附と、新宿歌舞伎町の2カ所に開設。2つの無料検査所はともに検体採取まで約10分、事前申し込みした場合は約5分と短時間で検査を完了できる。

 赤坂見附は都内最大規模の300平方メートル超の地下地上連動型の検査センターで、20人以上が同時に唾液の採取が可能。自社製作の検査キットを備えているため、予約不要の来訪者が増えても在庫切れしない体制を備える。

 3月6日開催の東京マラソンでは、約2万人のランナーの参加前検査を実施し、クラスターを発生させなかった実績を持つ。一日8000検体以上の検査能力を持つため、大企業や官公庁といった大口の検査も受注している。羽田と成田での大手航空会社社員の検疫業務も受託している。

(文=Business Journal編集部)

PCRnowの申し込みはこちら→https://pcrnow.jp/

劣悪な無料PCR検査所も混在、真逆の結果も…信頼できる検査所の見極めポイントの画像4

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

劣悪な無料PCR検査所も混在、真逆の結果も…信頼できる検査所の見極めポイントのページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!