会見でお披露目された端末は、同社独自開発の端末のほか、サムスンやオッポ、ソニーなどの楽天モバイル用のアンドロイド端末だった。iPhoneに関しては「現時点で個別メーカーさんのお話はできない」とのこと。楽天グループとの相乗効果を徹底的に追求し、支払いはすべて楽天IDで行い、ポイント支払いも可能なのだという。
楽天基地局以外はKDDI
一見、計画は順風満帆に見えるが懸念がいくつかある。
例えば、10月のサービス開始時点では東京23区、名古屋市、大阪市で楽天の基地局を用いた通信サービスを提供するが、それ以外のエリアはKDDIのローミングでカバーするのだという。楽天側は通話やSMSなどを複合したアプリ「LINK」をメインに据えたサービス展開を目指しているが、サービス発足当初はKDDI頼みということになる。
これに関して、三木谷社長も会見で次のように発言している。
「他社と接続しないといけないので、他社と接続したネットワークが動くかも確認した上でサービスを始める。まずは助走期間としてやらないといけない。そういう理由があります」
つまり現時点では、KDDIとの提携がネックになっているとみられる。
一方、基地局やネットワーク設置作業の遅れに関する懸念も払しょくできなかった。楽天の武田和徳副社長は、基地局の状況について次のように語った。
「基地局のアンテナとデータセンターを結ぶダークファイバーをつなぐ作業に関しては目標と同様の進捗になった。ひとつひとつの基地局のオーナーとの交渉を経て、現在はダークファイバーをつなぐという段階。NTTの協力を得ながら、猛ラッシュで始めている。若干時間を要したが、クオリティの高い工程になってきた。確実に稼働にむけて結び付けたい。10月からのローンチをしっかり確立したい」
こうした発言に関して、大手情報通信会社の社員は次のように指摘する。
「『NTTの協力を得ながら』という部分が、味噌でしょう。つまりこの発言こそ楽天モバイルの計画遅延の理由なのではないかと思います。」