日本のキャッシュレス決済はこんなに危険…政府主導の普及で詐欺被害拡大は必至
クレジットカードで買い物をする際にサインするのは日本だけです。セキュリティ対策のないなか、被害額が年間200億円にのぼるカード詐欺は増加中です。
消費増税にともない、キャッシュレス決済をした購入者へポイントを還元するなど、消費拡大対策を実施しています。そのポイント還元策が終了後の2020年10月以降、マイナンバー所有者がキャッシュレス決済で2万円を入金すると、5000円分のポイントを還元する案も、政府で検討されていると報じられています。
しかし、お得だからと考えて簡単に乗るべきではありません。私には詐欺被害拡大を招く対策にしか見えません。クレジットカード不正利用による被害額は年間200憶円で、増加傾向にあります。ましてや、利用者はカード会社に個人情報まで提供するのです。
確かにキャッシュレスなら中小規模の小売店で5%分、コンビニエンスストアや外食チェーンなどで2%分、モバイルSuicaでの支払いで2%分の還元を受けられるので、お得でしょう。
それでも日本では現金派が多いのは、カードのセキュリティ対策があまりにもお粗末だからです。
まず、海外ではクレジットカードで買い物してもサインをしません。いまだにカードで買い物後にサインを求められるのは日本だけです。海外ではサインの代わりに4桁から6桁のピンナンバーを端末に入力します。アメリカでは電子サインと暗証番号の2つを求める店もありますが、紙へのサインは求められません。
イギリスなどでは、カードを盗まれた時のためにコンタクトレスカードが主流です。これは1回の限度額が数千円と低く設定されており、決済後は1日以内に利用者にメールが送信されるので、悪用されたらすぐに気付きます。しかし、日本では限度額の設定はおろか、セキュリティ対策がほとんど構築されていません。
イギリスでは政府主導で早くから銀行などに積極的に対応を徹底するよう求めてきました。銀行はネットバンキングの利用者に端末を郵送し、サイト上で暗証番号を入力するだけでなく、入力後に改めて通知された暗証番号を入力する二重認証システムを採用しています。また、2012年のロンドン五輪時にカードのICチップ義務化を行い、読み取り端末も最新のスキミング防止対策が施されたもののみ使用可能にしています。一方、日本ではまだ完全には普及していません。中小小売店では導入が進んでいないのが現状です。