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小笠原泰「コンピュータ技術の進歩と日本の雇用の未来を考える」

日本、雇用の喪失が急加速…失業者の受け皿消失、「おもてなし」はスキルではない

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授

第三次産業は雇用喪失者の受け皿とはならない

 それでは、情報通信産業という技術集約が加わった知識集約的産業はどうであろうか。最近急速に伸びてきている産業であり、雇用吸収力は高いといえよう。

 しかし、この産業は、技術集約と知識集約の合わさった高度な先端産業であり、技術革新が速く、スキルはすぐに陳腐化する変化の激しい産業である。デジタルネイティブである10~20代が最先端をいっており、30代でもスキルが劣るということが日常茶飯事の産業である。よって、第四次産業として位置づけるべきであるという主張もあるので、広義のサービス業である第三次産業と同列に論じるのは無理があろう。政府は雇用のミスマッチを強調するが、この領域においては、政府の考える程度の職業再訓練教育でミスマッチを解消できる可能性は非常に低いのではないか。

 このように、情報通信産業を含めた第三次産業は、もはや今後想定されるICTの革新的進歩による雇用喪失者の受け皿とはならないであろう。

 今回のICTの革新的進歩による雇用喪失に多くの人々が危機感を覚えるのは、それによって失業した人々を受け入れる産業セクターがもはや存在せず、逃げ場がないことに気付いている一方で、機械による雇用喪失のスピードが速まっていると感じているからであろう。

 次回は、ICTの革新的進歩による雇用喪失の核心であるAI(人工知能)と深層学習について考えてみたい。
(文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授)

小笠原泰/明治大学国際日本学部教授

小笠原泰/明治大学国際日本学部教授

1957年生まれ。東京大学卒、シカゴ大学国際政治経済学・経営学修士。McKinsey&Co.、Volkswagen本社、Cargill本社、同オランダ、イギリス法人勤務を経てNTTデータ研究所へ。同社パートナーを経て2009年より現職。主著に『CNC ネットワーク革命』『日本的改革の探求』『なんとなく日本人』、共著に『日本型イノベーションのすすめ』『2050 老人大国の現実』など。
明治大学 小笠原 泰 OGASAWARA Yasushi

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