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松村太郎「米国発ビジネス&ITレポート」

iOSとAndroid、スマホOSのシェア99.9%に…「その他」消滅の多大な恩恵

文=松村太郎/ITジャーナリスト

 モノポリーは独占状態を指すが、2社で占めているため「デュオポリー」という言葉が使われているのだ。

 AndroidとiOS以外のスマートフォン向けOSには、スマートフォンの先駆けの時代を支えたBlackBerry、そして依然PC業界で最大勢力を誇るマイクロソフトのWindows Phoneがある。しかしいずれも、間もなく終焉を迎えようとしている。

 BlackBerryはTCLが製造するAndroidベースのスマートフォンをリリースし、そちらへの乗り換えを促している。19年までに同社のサービスをすべて終了する計画だ。

 またマイクロソフトはノキアを買収し、スマートフォン戦略の立て直しを図ったが、ノキアもAndroidスマートフォンの製造に乗り出すようになった。昨今はもっぱら、買収したWithingsのブランドをノキアに統一し、ウェアラブルデバイスやヘルスケアデバイスのメーカーとして知られるようになった。

 マイクロソフトはスマートフォン向けのWindowsについて、新機能の追加などを行わず、新型スマートフォンのリリースの計画もない。そのほかにも、スマートフォン製造の最大勢力であるサムスンは、モトローラ、NEC、パナソニック、NTTドコモ、ボーダフォン、インテルらとともに、新しいモバイルOSである「Tizen」の開発を行っている。

 17年5月には最新バージョンとなるTizen 4.0をリリースしているが、モトローラ、NEC、パナソニックなどの参画企業は買収もしくはスマートフォン開発から撤退しており、他産業での活用の可能性はあるが、モバイルOSとしての存在感は皆無だ。

開発者にとってはメリット

 モバイルOSのデュオポリー化する現状は、パソコン市場のそれと近い。WindowsとMacを合計した市場シェアは97%を占めており、その他にLinux、ChromeOSが存在している。そして、この状態が安定しているのが現状だ。

 アップルはモバイルOS、デスクトップ・ラップトップOSでともに2位の勢力を保っている。このことは、何よりアップルの強固な開発者コミュニティへのアピール材料となっている。

 現在もなお、シリコンバレーやサンフランシスコで生まれる新しいアプリサービスはiOSで先につくられる。その理由は、サービス普及に重要な市場となる先進国で5割前後のシェアを確保していること、最新OSへのアップデート比率がAndroidに比べて高く、OSバージョンやデバイスの分断化が少ないため、アプリ開発のコストが軽減されることがその理由だ。

松村太郎/ITジャーナリスト

松村太郎/ITジャーナリスト

慶應義塾大学政策・メディア研究科卒業後、ジャーナリストとして独立。テクノロジーとライフスタイルの関係を追いかける。2011年より8年間、米国カリフォルニア州バークレーに住み、テクノロジーの震源地であるサンフランシスコ・シリコンバレーを現地で取材した。
学校法人信学会 コードアカデミー高等学校

Twitter:@taromatsumura

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