日本でも近年、ようやく「スタートアップ」という言葉が浸透してきた。“起業”を意味するこのビジネス用語。才気あふれる若者たちが、独自のサービスで社会を変えることを目論んでいる。
そんな中、サイバーエージェントがビジネスパーソンに向けた新たな勉強会「SHAKE100」を開催。記念すべき第1回目は「日本産スタートアップの未来」をテーマに若手起業家4人が議論を展開した!
パネラーを務めたのは、話題の記事配信サービス・Gunosyの竹谷裕哉氏、スタートアップ企業の悩みを解決する実名Q&Aサービス・Qixilの合田武広氏、イベントまとめサービス・U-NOTEからは弱冠22歳のCEO・小出悠人氏、そしてスタートアップに必要な情報を提供するメディア・Startup Ideas&Framework編集長の井出一誠氏の4人だ。会場には、起業に関心を向ける100名あまりの参加者が集結。告知後数日で予約が埋まってしまったというだけあって、参加者たちのテンションも高い。
受付でビールが配布され、パネラーたちの乾杯から始まったこの勉強会。若手らしく、ラフな雰囲気の中でビジネスの本音が語られていく……。
■検索では見つからないサービスを
この日、まず討議されたのがサービス開発のきっかけ。Qixilは、合田氏自らが欲しいと思っていたサービスを具現化した。そもそも、以前はiPhoneアプリ・Pitapatというサービスを開発していた合田氏。
しかし、プロモーションやマネタイズの方法がわからずに、半年でサービスをクローズせざるを得ない状況に……。「そういった戦略はGoogleで検索してもなかなか見つからず、先輩やベンチャーキャピタルなどにその方法を聞ければと思っていたんです。その経験からQixilの開発に至りました。最終的に目指すのは集合知、実名のWikipediaですね」と展望を語る。
5月にローンチされたばかりのStartup Ideas&Frameworkも「起業家にはスタートアップを成功させる方程式やツテもない場合が多い。彼らにナレッジを提供できれば」と、サービス開発の動機はQixilとほぼ同じ。また、mixiの関連プロジェクトという立場から「Find Job!やmixiのブランディングに繋がっていけば」という狙いもあるようだ。
U-NOTEは学生たちが立ち上げたイベント・セミナーのまとめサービス。当初は大学の授業に特化させようとしたものの、価値あるコンテンツになりにくいと考えたことから、リリース直前に方向転換し、現在の方向性に至った。忙しいビジネスパーソンが参加できなかったイベントの様子がわかるとあって、じわじわとユーザー数を伸ばしつつある。「日本中の全てのイベントがU-NOTEにアップされるようになりたい」と、こちらもやはり夢は膨らむばかりだ。
■Gunosyはまだ売上は上がっていない
ほどよくアルコールが回って饒舌になってきた4人。ここぞとばかりに、お金についても本音トークが披露される。スタートアップを目指す参加者にとって資金繰りは切実な問題。一言も聞き漏らすまいと会場中が真剣に耳を傾けた。
注目を集めるGunosyでは、現在、年内に100万ユーザーの獲得を目標としている。「毎日Gunosyを利用するのは、そのうちの半数程度。通勤時間中に読まれることが多いことから、ゆくゆくは新聞朝刊に代わるようなサービスになれたら」と目標を語る。しかし、Webサービスが苦戦するマネタイズに関しては「現状、まだ売上は上がっていない」と竹谷氏。ユーザー数の獲得とともに、広告枠販売による売り上げ確保を目指しているという。