――具体的にどういうものでしょうか?
小川 自社サイトのことを最近では「オウンドメディア」といいます。「オウンドメディア」がなぜ重要なのかというと、
・SNS上で何が語られているのかをしっかりと調査
→効果的に広告やリンクを差し込んで自社に連れてくる
→そこできちんとおもてなしをする
→ソーシャルメディアから来た人を、”ソーシャルメディア風に”おもてなしをすることで心地よくなってもらう
→それを、またSNSで語ってもらう
というサイクルが、ブランディングにもマーケティングにも素晴らしい影響を与える「レピュテーション」が創出され、拡大・伝播していくことにつながるからです。なので、「オウンドメディア」が担う、ユーザーをリピーターにするためのおもてなしの機能が重要なのです。
――モディファイは、そこに強みがあると。
小川 ソーシャルメディアでビジネスをするITベンチャーは、この3つの中でどこが強いかで体質が決まってしまうのですが、モディファイは「オウンドメディア」の構築をメイン事業としています。クライアントの自社サイトでのユーザー滞留時間を長くするために、居心地のよいサイトにしていく。クールでわかりやすくて、SNSで「ここはいいよ」とユーザーがしゃべりたくなった時に、すぐにアクセスできるような「オウンドメディア」を、どんどんつくっていきたいと考えています。
――そのほかには、どのようなビジネスを展開しているのでしょうか?
小川 O2O(Online to Offline)ビジネスにも注力しています。例えば、私たちがサポートしている「ユナイテッドアローズ・グリーンレーベル・リラクシング・ファンサイト」では、サイト自体に天気予報を載せています。そして、雨の日のおすすめの商品やセールの割引情報を流しています。店舗は天気がよくないと来店客数が落ちるんですね。でも、雨だから割引とか雨の時のおすすめ商品が出ていれば来店するきっかけになり、来店客数が増える。その分、売り上げも伸びるんです。オンラインで行っている施策をオフラインである店舗と連動させる。そのようなことを通じて、ECだけではなく、リアル店舗のソーシャル化のお手伝いもしています。
小規模のSNSが増える?
――今後、日本におけるSNSサービスは、どのような方向に向かうのでしょうか?
小川 Facebookは、実名を使うオープンなメガSNSです。非常に便利なのですが、そこで話すことといえば、知り合い同士が酒を飲みながら本音を語る世界ではありません。なぜなら、しかし、本音を語り合う、心地よいサロン的なSNSも必要なはずです。アメリカでは、Facebookの登場で一時期ほとんどが駆逐されたはずの小規模のSNSが、再び増えてきています。富裕層だけとか、特定の趣味に共通する人たちだけのクローズドなものなどです。日本においても、多分そのような動きが出てくると思います。Facebookはもはやオープンな社交場として巨大になりすぎました。スポーツで言えばサッカーのようなもので、フットサルのように少人数でプレイしたいというニーズに応えるサービスはどんどん増えます。Facebookでは、なかなか「いいね」と言いづらいコンテンツでも、本当に同じ趣味の仲間が集まる場所でなら堂々と言えるはず。いくら歌が好きでも、昔の歌声喫茶のように誰の前でも歌えるわけでなく、やはり小さなカラオケルームのほうが心地よいのと同じことです。