最近音楽の世界で「ハイレゾ」という言葉を耳にしたことのある人は多いだろう。日本でもハイレゾ配信サイトが立ち上がり、誰もが自由にハイレゾ音楽をダウンロード購入できるようになった。
しかし、そこには大きな落とし穴がある。「ハイレゾだから音が良い」というのは誤解で、最近はインターネット上では「高いお金を出してハイレゾ再生機器と音源を買ったのに、CDとさほど変わらない」「ニセレゾ」などという声もよく目にする。一体何が起こっているのであろうか?
●ハイレゾ音源って何?
まず、ハイレゾの問題点に言及する前に、ハイレゾの基礎について軽く触れておこう。
ハイレゾ音源とは、「音楽CDよりも高いデジタルスペックを持つ音源」のことで、ファイルフォーマットは非圧縮のWAV、AIFFか、可逆圧縮(完全にデータ復元が可能)なFLAC、Appleロスレスフォーマット、さらには、スタジオの現場で使われるDSDという音源用のDSF、DIFF形式が使われる。
音楽CDはPCMという方式で「16ビット、44.1kHz」というスペックのデジタルデータだ。前者は量子化ビット数、後者はサンプリングレートといい、データの精細度を示す。いずれの数値も高いほど高精細で、このスペックを超えていればハイレゾと称することができる。
●ハイレゾ音源のほとんどは「なんちゃってハイレゾ」?
ハイレゾ音源を手に入れるには、ハイレゾ配信サイトから楽曲を購入し、ダウンロードして再生する。日本では、オンキヨーの「e-onkyo music」や、ソニーの「mora」が有名だ。また、海外ではアメリカの「HDtracks」が最大手だ。
これら3つのサービスのうち、ハイレゾ音源のみを配信しているのは「e-onkyo music」だけで、「mora」や「HDtracks」はCDスペック、あるいはそれ以下のスペックの音源も販売している。ちなみに「HDtracks」は、権利関係のためか、以前は完全に日本からの購入はできなかったが、2014年3月現在では、一部のレーベルを除き「PayPal」でのオンライン購入ができるようになっている。