労働組合・東京管理職ユニオンのアドバイザーの設楽清嗣氏は、左翼リベラルが、自公政権に対抗できる勢力をつくることを唱える。最近は、経済界のなかにも新しい動きがあり、「反自公・反新自由主義」の一大勢力となる可能性があると指摘する。
共産党は、勝ち抜く政治が相変わらずできない
労働組合ユニオンのパイオニアとして、リーダーとして、設楽氏は一貫して自民党や大企業に対立してきた。その運動が、大きな曲がり角にあると指摘する。
「今の政権に委ね、新自由主義まっしぐらでいいのか。それで社会や経済が、国が10~20年後、成り立つか。民主党も共産党も、自党のことを最優先する考えを捨ててほしい。新自由主義への対抗軸をつくるべきだ。共産党が民主党や社民党などに歩み寄ると、ひとつの軸となり、保守と左翼リベラルの間に亀裂ができる。これを仕掛けることが大切だ」(設楽氏、以下同)
昨年の東京都知事選で、元首相の細川護煕氏が脱原発を掲げて立候補した。共産党は、弁護士の宇都宮健児氏を擁立した。それを問題視する。
「結局、自公政権が推す舛添要一氏を当選させ、今の原発容認路線になった。共産党は、勝ち抜く政治が相変わらずできない。自分たちの正しさのほうに振り子が行ってしまう。敵のまちがいを正すために、自分たちとは違う考えを持つ者と共闘していくしたたかさがない。この広い視野がないと、これからは闘えない。この50年、共産党をはじめとした日本の左翼には柔軟さがない。もし左翼が広くて柔軟な考えを持ち、保守政権の対抗軸になれれば、日本の社会をじりじりと変えることができる」
さらに設楽氏は、「対抗軸のひとつの思想は、経済成長至上主義であってはならない」と力を込める。
「経済成長をしなくとも、皆でいかに支え合い、助け合うか。民主党・社民党の政権が敗北に終わった大きな理由は、その方向に舵を切ることができなかったからだ。政権の座に就いていた時、民主党や政権の中枢は経済成長論者が主流だった。共産党も、実はケインズ的な福祉国家論に傾いている。一定の経済成長を前提とし、その利益を国でいかに再分配するかという点がほかの政党とは違うが、成長を重視していることに変わりはない。それでは、この国はもう成り立たない。そもそも今後、大きな成長はできないはずだからだ」