さらに、「信用金庫や信用組合の存在は、今後の日本の経済再建をするうえで極めて重要」と強調する。
東京管理職ユニオンは今、ある試みをしている。組合員らが、2年半前に倒産したガソリンスタンドを新しい地主の支援を受けながら、自主営業を続けている。最近、地元の信用金庫が融資することになった。組合員たちは、会社の土地と建物を買い取った。海外で見られる、労働組合による自主管理企業といえる。
日本でも、労働者による自主管理は、はるか前から行われてきた。70年代、ペトリカメラ、ヴァン・ジャケット、パラマウント製靴の再建闘争にも労働組合が関わったが、その再建は難しい。特に金融機関などからの支援を受けるのは困難だ。
設楽氏は、「だからこそ、信用金庫や信用組合の力が大切」と語る。
「城南信用金庫が、その使命感を強くしている。全国の信金が中小企業を支えるんだという自覚。そして、原発のない社会を支えるといった意識はものすごく強い。今、資本力の強い者が勝ち、弱い者が淘汰される社会をどのように再建していくかが問われている。その根本的なところでの理解を深めていかないといけない。資本力ではなく、社会的資本としての資本力を強くしていくことが必要。
人間が皆で協働し得る資本力で経済を立て直す。リストラで人を減らせばいい、会社を潰せばいい、という次元の問題ではない。もっと深いところで考えていくべきだ。そうでないと、日本の経済や社会を立て直すことはできない。その最前線に信金や信組、生協、労協、農協、NPOやNGO、ユニオンなどがいる」
さらに設楽氏は、「経団連に加盟する大企業の経営者たちは、そんな考え方に立ち得ない」と皮肉る。
「多くの大企業は新自由主義的資本力に深く加担しているから、そんなことを言えるわけがない。今の体制のなかで、どれだけ儲けることができるか、そのような考え方しかできない。それが、巨大な金融資本や企業の鉄則だ。
新自由主義的な動きに対抗する勢力が、アメリカや欧州、南米などで次第に増えている。最近では、イギリスの労働党に新しいリーダーが生まれた。資本力だけの競い合いに、ブレークをかける動きといえる。日本も、民主党や社民党、共産党などが結集するべき時なのだ」
次回は、設楽氏が説く、会社員のケンカの仕方などを紹介する。
(構成=吉田典史/ジャーナリスト)