安倍首相より天皇は沖縄に同情する思いを持っている
「国会議員のなかでは、小沢一郎氏は柔軟性を持っている」と設楽氏はみている。小沢は1980年代後半に自民党の幹事長をしていた頃、熱心な改憲論者だった。しかし、90年代になると自民党から離れ、その後は次第に変わっていく。
「小沢氏は、20数年前は核武装まで唱えるほど過激な自主防衛論者であった。それは、裏を返すと日米安保を破棄することを意味する。もともと自民党には、反米愛国的なナショナリストがいた。石原慎太郎氏も、そのひとりだ。私は左翼だが、反米愛国の姿勢は理解できる。国を愛しているならば、左翼か右翼しかない。共に反米であるべきなのだ。
ところが、小泉純一郎氏が首相になった頃から、自民党内からその姿が消えていった。今や、自民党は皆親米派だ。異端や異質な者がいない。安倍政権はアメリカの手先であり、徹底して親米になっている。そのことに対して、党内で誰も何も言わない。
結局、アメリカの言いなりになっているだけの右傾化であり、この行き着く先に何があるのか。表向きはアメリカに合わせ、その後、自主防衛などに舵を切るわけでもない。日本政府としての主体性があまりにもない。挙げ句に、戦中戦後も一貫して犠牲になった沖縄にさらに負担を強いている」
設楽氏は、沖縄の苦しみを痛切に感じているのが、天皇陛下だと考えている。
「私は天皇制に反対の立場だし、皇室にいい印象も持っていない。だが、少なくとも安倍首相よりは、天皇陛下は沖縄に同情する思いを持っているように感じる。その意味で、今や、天皇陛下は、我々・左翼の守り神だ。一生懸命に沖縄のことを考えている。アメリカの言いなりになり、沖縄に苦しみを与える安倍首相は本当のナショナリストとはいわない。私は反米愛国で、沖縄の人たちの側に立つから、陛下の沖縄への同情心が感じ取れる」
リストラで人を減らせばいい、という次元の問題ではない
保守に対しての左翼という対抗軸は戦後、何度も唱えられた。その都度、軸になる前に消えていった。設楽氏は、今は過去50年とは違う流れがあると説く。
「経済界に新しい動きが起きている。全国の信金、信用組合、さらにIT企業の経営者たちは、『経済団体連合会(経団連)を中心とした大企業などに日本の社会や経済のかじ取りを任せてはおけない』と考えて団結し始めている。この勢力は、自民党や経団連とは明らかに違う動きを見せていて、今後何かのきっかけで一段とその違いが明確になる。それを我々は仕掛けないといけない」