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購入時との「差額」が損害
ところで、マンション住民が前述の3つの責任、「契約責任」「不法行為責任」「担保責任」を追及するとして、三井、三井住友建設、旭化成建材などに対し「いくら」の金額を請求できるのでしょうか。
この点は、さまざまな意見がありますが、「今回の事件が発覚する前日のマンション(それぞれの住戸)の市場価格」と、「今回の事件が発覚した後のマンション(それぞれの住戸)の市場価格」の「差額」をもって、被った損害と考えること「も」できます。
もちろん、購入時より価値が下がっていることもあるでしょうし、近年のマンションバブルで上がっているかもしれません。いずれにせよ、横浜市都筑区の三井のマンションでしょうからそれなりの価値はあったでしょうし、他方で「傾いたマンション」の価値など、極めて低いでしょうから、その「差額」は相当の額となることが想定されます。
企業のあるべき姿
かつてパナソニック(当時は松下電器産業)が製造・販売していた石油暖房機に不具合を発見した時、20数年前に販売を開始した商品であるにもかかわらず、多大な費用と補償を行い、国民の大きな理解を得たことをとても覚えています。
今回の事件は、「家族の住処」という人間にとって根幹をなす「財産」にかかわることです。マンションのオーナーのひとりとして、不動産業界をリードする三井グループにおかれては、責任の所在、損害の範囲などにかかわらず“神対応”をされることを切に望みます。
(文=山岸純/弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP・パートナー弁護士)
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