「アンジェはちょうど別のプロデュース案件がなくなった時期でもあり、あくまでビジネスの話なら、ということでA氏に会ったようだ。知人から『2人で会って大丈夫?』と聞かれ、『今は私も結婚しているし、子持ちよ? 変なことはないわよ』と答えたようだ。そして、A氏から『早い時間から飲みたい』と言われ、自分の夫が経営するバーしかないということで、そのほかの合流した2人と4人で飲みだしたらしい」(アンジェリカの知人)
「A氏はそこで皆に向かって、『アンジェリカの旦那に喧嘩売ってもいいかな?』と冗談めかして言っていたと、その場にいた人物から聞いたと証言する人もいる」(別のアンジェリカの知人)
これらの証言が事実であれば、アンジェリカ側が美人局を画策したという構図は崩れる。
キム氏の人物像
次に、キム氏の人物像をみてみよう。アンジェリカの友人はこう証言する。
「2人が付き合った当初は、キム氏は非常に優しく、動物嫌いと言いながらアンジェのペットも可愛がっていたようだが、結婚を機に豹変。結婚してしばらくしたら、よく電話をくれたアンジェからの電話がなくなり、電話をかけてもつながらず、LINEでメッセージを送っても返信がない。そんななか、キム氏が渋谷のバーで『嫁を躾けるときは、嫁を裸にして正座させている』などと自慢げに言っているのを聞き、心配になったけど、連絡の取りようがなかった」
いったい2人の間に何があったのだろうか。さらにこの友人は言う。
「アンジェ本人に連絡取れないから、姉のカレンに連絡取ったら、『私も連絡が取れない』と心配していた。カレンがなんとかインスタのダイレクトメッセージで連絡したら、アンジェがスマホの番号を変えさせられ、電話帳も消されていたことが判明した。私もインスタで『大丈夫?』と聞いたら、『うん、でも、私がいけないから。優しいときもあるし』と言っていた」
さらに、カレンや母親が、アンジェリカがキム氏からひどい言葉を浴びせられていると、アンジェリカから聞いていたという情報もある。裸で長時間正座させることは一種の暴力といえるが、「自分は躾けられている」と思い込んでしまう精神状態に陥っていたことがうかがえる。この精神状態について、臨床心理学者はこう解説する。
「人は他人に理不尽なことをされ、本能的に自分ないし身近な何かに危険を感じた場合、逃げられるなら逃げますが、なんらかの理由で逃げられない場合は、無理な理屈を立ててでも受け容れようとすることがあります。心理学でいう防衛機制の一種です。ときに優しさを感じてしまうのも、自分を納得させようとしている証拠だと思います。相手は、服従させようとしているだけなのに、それを自分に都合よく解釈して精神的なストレスから自分を守ろうとしているのです」
もしかすると、アンジェリカの場合、自分だけでなく生まれてまもない子供のことも考えて、防衛機制が発動されて無意識のうちに服従させられていたのかもしれない。
夫の行動を知って心配したアンジェリカの友人の一人は、事件報道後に本人に連絡を取ったという。
「事件をきっかけにアンジェ本人もやっと目が覚めたようで、すでに所轄警察署の生活安全課に夫の行動について相談しており、緊急時の措置についても指導してもらったようです。『離婚の意思も固い』と言っていた」
さらに、美人局の共犯を疑われているアンジェリカについて、この友人は語る。
「確かにアンジェはお酒好き。しょっちゅう朝まで飲んでた。でも、子供が生まれたら、母乳で育てる、と言ってまったく付き合ってくれなくなった。いつも彼女に奢ってもらっていたから、自然と私も酒の量が減ったけどね(笑)。今はほとんど飲んでいないんじゃないかな。子供ちゃん命だから。でも、やっと最近、ランチでシャンパンを何杯か飲んだりはしているみたいです」
事件の起こった日は久しぶりに痛飲して泥酔状態になったのかもしれない。ちなみに、そのバーの個室に防犯カメラがあったことを美人局を計っていた証拠として挙げる報道もあるが、前出の警視庁OBはいう。
「今どき、カラオケボックスの室内にも防犯カメラはあるし、むしろ個室内での酔っ払いによる器物破損が増えるなか、自衛のために防犯カメラを設置しているほうがむしろ自然です」
「捜査関係者」という言葉に要注意
今回の報道は、TBSのスクープであった。キム氏がA氏に送った脅迫的なLINEメッセージもTBSが報道しており、A氏ないしその関係者がTBSとなんらかのルートを持っているのかもしれない。報道後すぐに警察当局でなく、複数の芸能関係者からアンジェリカの美人局説が流布される一方、「被害者は現在カネに詰まっており、キム氏とトラブルになった上で警察に被害届を提出し、金を得るために示談に持ち込もうとしていた」との情報も流れていた。
もしアンジェリカが夫から前述のような行為を日常的に受けていたのであれば、夫に逆らえずに恐喝の現場に居合わせた可能性もあるが、こうした行為を夫から受けていたのかをアンジェリカの所属事務所に問い合わせたところ、以下の回答が寄せられた。
「噂でそれらしきことを聞いておりました為、本人に確認してみたところ、本人からは『大丈夫です』との返答があった為、静観しておりました」
また、
・キム氏が恐喝におよんだ原因とされるバー個室での会食には、アンジェリカとA氏を含めて4人いたのか。また、アンジェリカはA氏からビジネス上の相談があるからと誘われて参加したのか。
・キム氏と離婚の話し合いを行っているのか。
・一部で報じられている美人局疑惑は事実なのか。
についても所属事務所に問い合わせたが、「ノーコメントでお願いします」とのことであった。
もし「捜査関係者」などのコメントで印象操作されれば、事件の裏側にあるもっと大事なことがみえなくなってしまう。今後、当事者たちの口から真実が語られるときはくるのだろうか。
(文=関村泰久/ジャーナリスト)