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「さすがに、主催都市の東京都を後回しにする森会長のやり方はマズかった。都民をバカにしただけでなくアスリートにも札幌移転への反対論が少なくなく、世論の批判は、リーダーシップを発揮できていない小池知事よりも、強権的なIOCとそれと結託した森会長へのほうが強まった。都民のために奮闘する小池知事への同情論も広がった」(自民党関係者)
当然、小池知事もそれを意識しており、この間の発言では「都民を代表して」という言葉を連発。最終的に札幌移転は覆らなかったが、IOCから「札幌移転で生じる費用を東京都は負担しない」「マラソン・競歩以外の競技は移転しない」という言質を取り、都民に与える“損害”を最小限に食い止めたかたちとなった。「合意なき決定」と繰り返した11月1日の会見では、7~8月開催の夏季五輪について「北半球の都市にとって過酷だ」とIOCを皮肉るのも忘れなかった。
その先に小池知事が見つめるものは、五輪直前の来年6~7月に実施される予定の都知事選での再選だ。
「都民のために闘って、移転費用負担を阻止した。東京開催のためにがんばった知事を、五輪直前に交代させるなんて、あり得ないんじゃないか。そもそも一般的に、首長は2期目の選挙が最も強いといわれますしね。森さんの独断先行は、来年の都知事選に向けた小池降ろしには逆効果だった。自民党はよほどの対抗馬を探さないと無理。丸川珠代参院議員を推す声もあるが役不足でしょう。小池さんの迷走で築地市場の豊洲移転が遅れたことや、『排除』発言が原因で国政挑戦に失敗したことなどの過去の“汚点”は、今回のことですっかり吹き飛んでしまった」(都庁関係者)
「政界渡り鳥」と揶揄されながらも30年近くしたたかに生き抜いてきた小池知事の本領発揮、ということか。
(文=編集部)
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