自民党内で石破茂元幹事長の孤立化が加速している。9月の内閣改造では石破派からの入閣者はゼロだった。もの言えば唇寒しの安倍1強政権で正論を吐く数少ないベテランだが、言えば言うほど党内の批判を呼び、ますます干される状態。
最近も、野党議員が同席するイベントで「『こんな人たち』みたいなことを言ったらいけない」と発言。安倍晋三首相が火ダルマになっている「桜を見る会」に関しては、「党の役職をしているときに(自身が招待できる)枠があったが、使ったことはない」と自民党議員の招待枠の存在を暴露した。
そんな石破氏に「政権や党に批判的なら野党に行けばいい」などという露骨な嫌味が飛ぶ。11月11日には東京都内のホテルでパーティを開いたが、出席者は1500人規模と盛大だったものの、党三役の出席はゼロ、現職閣僚も北村誠吾地方創生担当相だけという寂しさだったという。
ところが、「ポスト安倍」レースで4度目の総裁選挑戦を公言している石破氏を、なんと菅義偉官房長官と二階俊博幹事長が担ぐ可能性があるというのだ。
「ポスト安倍をめぐっては、水面下で政権内の権力闘争が激化している。構図は“安倍首相・麻生太郎財務相vs.菅・二階”。安倍さんが自身の後釜に想定しているのは岸田文雄政調会長だろう。一方、ポスト安倍の候補に浮上していた菅さんは、系列の閣僚2人が事実上更迭され、ミソをつけた。もっとも菅さん本人は総裁選に自分から手を挙げるのではなく、推されれば出るというタイプ。むしろなりたいのはキングメーカーだろう。それは二階さんも同じで、岸田さんの対抗馬として、菅さんと二階さんが石破さんを担ぐ可能性は大いにある。なんといっても、石破さんは永田町では冷や飯を食っていても、地方の自民党員には根強い人気があるからね」(自民党ベテラン議員)
首相官邸内で安倍首相と菅長官が微妙な関係になっているのは、知る人ぞ知る話。菅氏が「令和おじさん」で国民的知名度を得て、ポスト安倍の1人に踊り出たことを安倍首相は苦々しく思っていた。だから、菅氏に近い菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相が公職選挙法違反の疑いで相次いで辞任し、菅氏の党内評価が下がったことを、安倍首相は内心「いい気味」だと思っていたとされる。
しかし、ここへきて「桜を見る会」に関し、安倍首相の後援会「買収」疑惑が浮上。安倍首相は苦しい弁明に追い込まれている。ポスト安倍をめぐるキングメーカー争いの行方はどうなるのか。菅氏と二階氏の巻き返し、そして石破首相誕生はあるのか。
(文=編集部)