大手新聞社長の“バレバレ”不倫話を肴に盛り上がる新聞社幹部たちの一夜
「君たち、もういいだろう。来週だってまた会うんだし、おいおい聞けばいいじゃないか」
「そうですね。そうしますか。でも、僕にもう一杯、雑炊を食べさせてくださいよ」
小山と北川の2人は顔を見合わせて大笑いしたが、小山が自分の茶碗に雑炊を掬った。すると、村尾が手を叩いた。しばらくすると、格子戸が開いた。
「お済みですか。お茶をお持ちしましょうか」
「お茶はいいよ、な」
村尾の問いに北川、小山の二人が頷くと、老女将が続けた。
「皆さん、御供はどうなっていますか」
「おい、君たちも車はないんだろ?」
村尾が2人をみた。すると、北川が申し訳なさそうに答えた。
「僕は近所にハイヤーを待たせています。すぐに呼びますので、社長が使ってください」
北川は背広のポケットから携帯電話と運転手の名刺を取り出し、ハイヤーを呼び出した。
「2〜3分で来ると思いますから、とにかく使ってください。僕と小山さんは社に戻りますから、通りでタクシーを拾います。ねえ、小山さん、それでいいね」
小山は頷いたが、村尾は北川の申し出をやんわり断った。
「せっかくの好意だが、俺はあまりハイヤーは使わないんだ。悪いな。君たちがそのハイヤーで社に戻ればいい。俺は先輩の定宿のホテルまで行ってタクシーに乗るよ」
村尾はそう言うと、立ち上がった。
「3人が揃って出るのもまずいから、俺はトイレに寄って出る。君たちは先に出ろよ」
(文=大塚将司/作家・経済評論家)
※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。
※次回は、来週2月16日(土)掲載予定です。
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