スマートフォンを保有する人のうち、大多数が使うといわれているメッセージアプリ「LINE」。そのLINEの関連アプリをめぐって、波紋が広がっている。
4月6日付毎日新聞の記事によると、LINEが提供するゲーム内アイテムが、資金決済法の適用される「前払式支払手段」に当たるおそれがあるとして、関東財務局が立入検査に入ったという。
これに対しLINEはプレスリリースで、前払式支払手段に該当するか否かについては関東財務局と協議中であり、立入検査は前払式支払手段発行者に対して数年に一度定期的になされているものにすぎないと反論している。
LINEの何が問題となっているのだろうか。IT・インターネット法務に詳しい中野秀俊弁護士は次のように話す。
「ゲーム内で使われる通貨・ポイントは、前払式支払手段に該当する場合、資金決済法の適用を受けることになります。どういう場合が該当するかを簡単にいうと、
(1)「100ゴールド」「魔法石●個」など、金額や数量が記録される
(2)現金などの対価を得て発行される
(3)そのポイントやアイテムが、ほかの商品やサービスの提供に使われる
以上の3要件を満たすものとされています」
これに照らしてみると、ユーザーがゲーム内通貨やアイテムを現金またはクレジットカードなどで購入する仕組みは、前払式支払手段に該当するといえそうだ。
「宝箱の鍵」は前払式支払手段か
今回問題となっているのは、「LINE POP」というゲームの「宝箱の鍵」だ。LINEのプレスリリースでは、「宝箱の鍵」は外観や使用場面等を総合的に考慮して前払式支払手段に該当しないと判断しているという見解が示されている。
ポイントとなるのは、「宝箱の鍵」は直接現金等で購入するのではなく、ゲーム内のアイテムショップにおいて「ルビー」というゲーム内ポイントと交換することによって入手できるという点だ。この「宝箱の鍵」を使うことによって「宝箱」を開け、中に入っているアイテムなどを得ることができる。しかし、「ルビー」はユーザーが現金等で購入するため、前払式支払手段に当たることは間違いないだろう。この点ではLINE側も関東財務局も一致しているとみられる。
「『ルビー』で交換できる『宝箱の鍵』が前払式支払手段に当たるのかが問題になります。つまり、1次アイテムである『ルビー』と交換できる2次アイテムにまで前払式支払手段の適用があるのか、また、前払式支払手段の2番目の要件である『現金などの対価を得て発行される』に当たるのかが問題となっているわけです」(同)