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動かなかった実体経済
黒田総裁の目標は、異次元緩和といわれるほど強力な金融緩和政策を行うことで、金利を低金利に抑え込む。為替が円安に動くことで、製造業の為替差益が発生するとともに、円安による輸出競争力が付き、企業業績が良くなる。これを受け、賃金が増加し消費が活性化するという正の循環が起きる。その結果として、消費者物価が2%水準まで上昇することを狙っていた。
その前段階として、「脱デフレ経済」と強力な金融緩和をアピールすることで、国民が「景気は回復する。デフレ経済から脱却できる」というマインドを醸成することを狙った。
結果、一時は世の中の景況感は確かに明るくなった。しかし、原油価格の下落や中国の景気減速に対する懸念があったにしても、景気の実態や人々のマインドは黒田総裁の狙ったようには動かなかった。金融緩和だけでは、企業の設備投資や消費といった実体経済が動かないことははっきりしてしまったのだ。
むしろ、アンケート調査のなかでは、日銀のマイナス金利政策の影響を受け、「金利が低すぎる」という回答が65.1%(前回51.9%)にも増加し、国民が低金利に苦しむ姿が浮き彫りになってしまったのだ。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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