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まさにスパイ映画さながらの雰囲気である。日本の企業がアメリカで刑事事件を戦うことの大変さ、司法取引の厳しい駆け引きをこの弁護士は振り返っている。実際に旧大和銀行は当時、米国史上最高の3億4000万ドル(当時357億円)の罰金を支払い、アメリカ市場からの撤退を余儀なくされた。
しかし、当初は2000億円、次に700億円といった巨額の罰金を米国当局から求められており、弁護士の活躍によって妥当な額に落ち着いてゆくプロセスを見ると、いかに弁護士の力いかんで物事が左右されてゆくかがわかる。企業に何か法的な問題が生じた際には、企業自身の対応はもちろんだが、それを代理する有能な弁護士に企業の生命が託されていると言っても過言ではない。
このほか、新日鐵と住友金属工業との合併や、ブルドックソース事件、日本航空の経営破綻と再生など、日本の経済史に残る大きな出来事の背後で企業弁護士がいかに動き、知恵を絞ったか、その姿がダイナミックな筆致で描かれている。
優れた弁護士との関係づくりは重要
弁護士というと、従来のテレビドラマに出てくるようなちょっと偉そうで親分然としているステレオタイプなイメージがあるが、本書に紹介されている弁護士像は、そうしたイメージからはまったくかけ離れた存在だ。むしろ寝食を忘れてクライアント企業のためにつくすような人ばかりであり、誠実かつ謙虚に仕事に取り組んでいる様子が見て取れる。
今後ますます社会が複雑化し、企業からの多様な法的サービスのニーズが増えるなかで、ビジネス・ローヤーの考え方や行動力などを学ぶ価値は大きい。
またトラブルの種が尽きない時代に企業に適切な助言を行うことで、無用なトラブルが未然に防げる場合もある。そうしたなかでビジネス・ローヤーの存在は大きく、企業にとっても優れた弁護士や法律事務所との関係づくりは重要だ。本書は企業の経営者や役員だけでなく、若手からベテラン社員まで多くのビジネスパーソンや、法曹を志す学生などにも大いに役立つ力作である。
(文=編集部)
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