感染者急増で“国会クラスター”の危機…女子中学生「アベノマスクいらない、学童に寄付」
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
国会もクラスター(感染集団)になるかもしれない状況になってきました。4月13日は、朝から国会関係者の新型コロナウイルス感染情報が錯綜し、永田町はとても混乱しました。
前日の日曜日から「秘書が感染したらしい」「第2議員会館に消毒が入っている」という情報が駆けめぐっていて、「ついに正式に感染が発表されたんだな」と覚悟を決めていたところでした。
そして、13日の午前中のうちに、感染者は衆議院第2議員会館2階の鳩山二郎事務所の秘書さんだとわかりました。1人でも感染者が出たら、閉館して建物すべてに消毒を行ってほしいところですが、消毒が行われたのは鳩山事務所とその両隣の事務所だけでした。
「感染者が出入りした場所がわかり次第、消毒を行う」と午後にアナウンスがありましたが、場所を確認するよりも、先に全体を消毒してほしいというのが秘書たちの本音です。「鳩山議員も国会に出席しているし、そこは念のため自主隔離してよ」という感じです。
また、衆議院自動車課の運転手の感染も確認され、担当していた議員の自宅待機が公表されました。国民民主党の衆議院議院運営委員会理事の牧義夫議員です。牧議員は症状がなく、自主的に自宅におられるようです。
13日夜には、衆議院赤坂議員宿舎で消防庁職員が消毒を行っていると連絡が入りました。誰だろうと思っていたら、北海道が地元の自民党の船橋利実議員でした。本人ではなく、ご家族の感染が確認されたと報道されましたね。船橋議員は、IR(統合型リゾート)の件で中国企業からの賄賂疑惑が取り沙汰された人物です。疑惑のときはマスコミから逃げ回っていましたが、今回はさすがにきちんとマスコミ対応を行い、自身も検査を受けるようです。
職員がびっしり…今も“3密”状態の国会内
永田町だけでなく、外務省や厚生労働省、総務省にも感染者が次々に見つかり、霞が関の各省庁も出勤者を減らしたりリモートワークを広げたりと、工夫しています。しかし、国会連絡室と呼ばれる国会内の省庁出張所のようなところは、今も「3密」の環境で国会対応をしています。
資料を取りに行ったら、室内に職員がびっしりと座っていて、ゾッとしました。委員会開催も自粛しているのですから、こんなに詰めていなくていいのではないでしょうか。こんなときですから、職員の安全を最優先してほしいと心から思いました。
16日には、衆議院第1議員会館9階に消毒が入りました。今度は木原誠二事務所の秘書さんの感染が確認されたのです。そして、今度も木原事務所とその両隣だけの消毒。「勘弁してよ……」と思っていたら、地下1階にあるセブン-イレブンにも消毒が入りました。立ち寄られていたことがわかったんでしょうね。
ただ、その秘書さんが最後に議員会館に来たのは7日らしいので、今さら消毒しても役に立つのかどうか。しないよりはいいかもしれませんが、消毒する人もエプロンに手袋だけで、まったく危機感のない国会なのでした。
女子中学生が「アベノマスクいらない」
危機感がないといえば、安倍晋三首相が星野源さんとインスタグラムでコラボした1件ですよね。「あれはなんなん?」「何が言いたいの?」と国会女子からも非難殺到でした。しかも、「家にいよう」と呼びかける安倍首相に対して、なぜか昭恵夫人は大分県へご参拝ツアーにお出かけしたことが発覚しています。もう、本当に危機感ゼロですよね。
ちなみに神澤は、出勤途中に中学生くらいの女の子たちが「安倍総理に物申したいことあるよね。アベノマスク、私たちいらないから、みんなで集めて学童に寄付したらいいし、あのインスタも優雅にお茶するんじゃなくて、おうちでできる体操とかにしたらよかったのに。なんかよくわかんないよねー」と会話しているのが聞こえてきました。中学生のほうが「ごもっとも!」な意見を持っていますね。
とはいえ、永田町もだいぶ静かになってきています。会派によっては事務所に最低1人の秘書がいればいいので、交代で在宅勤務や休暇取得をするよう、お達しも出ています。
ただ、リモートワークは難しいです。院から支給されているノートパソコンは、規約で事務所からの持ち出しは禁止されているんです。こんな火急の事態が発生しているのに、その規約を変更する予定はまったくないのだとか。持ち運びできなければノートパソコンの意味がないと前々から思っていましたが、「今回はコロナで変わるかも」と期待しただけ無駄でした。
そして、1年に一度の不審メールの対策訓練をのんきに実施している始末。平時とは違うということを周知徹底するのが緊急事態宣言の趣旨なのに、国会の職員たちは理解が足りないようです。トホホ……。
国会の感染拡大は本当に心配です。
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。